【原文】(引用:『医学三蔵弁解』岡本 一抱著 京都大学附属図書館所蔵 富士川文庫目録より)
孕婦ニ患ル悪阻ノ義何ソヤ。
婦人スデニ懐妊スレバ其子宮中ニ常ニナキ男精ヲ留メ
且血海ノ精血浮溢テ内気常ニ●シテサワダツノアリ。
故ニ悪阻ヲ患フ。
血海ノ精血浮テ逆スレバ吐逆ヲ致シ。
或ハ精胎ノ気緩則其收ラシヲ欲シテ酸ヲ好ミ。
或ハ精胎ノ気急則其散セシヲ欲●辛ヲ好ム。
然レドモ日ヲ積月ヲ重テ子宮ノ精血定則悪阻モ
亦退●ヲ到ス。
必シモ醫療スルニ不及●●。
※●は解読が出来ませんでした。
【現代語訳】(引用:『医学三蔵弁解』 伴尚志 訳 たにぐち書店より)
妊婦が患う悪阻の理由は何でしょうか。
妊娠している婦人は、その子宮の中に
いつもは存在していない男精を留めています。
そして血海の精血は浮き溢れて、内の気はいつもと異なり
ざわついています。このため悪阻を患うわけです。血海の精血が浮いて逆すると吐逆します。
精胎の気が緩んでいるときはそれを収斂させようとして
酸を好みます。
精胎の気が急なときは、それを散じようとして辛を好みます。
けれども日を積み月を重ねていくと、子宮の精血が定まり、
悪阻もまたなくなります。
治療する必要は必ずしもありません。
独特な書き方をしており、非常に面白く感じますね。