『孟子』を読んでいて、自分の中に入ってきた言葉です。

「王子宮室車馬衣服、多与人同。
而王子若彼者、其居使之然也。」
        〜『孟子』〜

なるほど、僕には足りないものなので、
まだまだ修業が必要です。
勉強になりました。

では『難経』の記事に参ります。


【原文】
四十八難曰、人有三虚三実、何謂也。

然。
有脈之虚実、有病之虚実、有診之虚実也。
脈之虚実者、濡者為虚、緊牢者為実。
病之虚実者、出者為虚、入者為実。
言者為虚、不言者為実。
緩者為虚、急者為実。
診之虚実者、濡者為虚、牢者為実。
痒者為虚、痛者為実。
外痛内快、為外実内虚。
内痛外快、為内実外虚。
故曰虚実也。


【現代語訳】
人の病には、三虚・三実があるというが、
これはどういった意味なのか。

答え。
一つ目は脈の虚実、二つ目は病の虚実、
そして三つ目は診察における虚実である。
脈の虚実とは、無力な脈は虚であり、堅く緊張した脈は実である。
病の虚実とは、
伝変で言うと、内から外へ出るものは虚、外から中へ入るものは実である。
症状で言うと、言語に影響がないのは虚、影響があるものは実である。
病勢で言うと、慢性的な病は虚、急性病は実である。
診察の虚実は、
患者に触れ、力なきものは虚、堅いものは実である。
痒がるものは虚、痛がるものは実である。、
外側を按じるのは拒むが、内側を按じるのを喜ぶのは外実内虚。
反対に、
内側を按じるのは拒むが、外側を按じるのを喜ぶのは内実外虚。
故に虚・実があるのである。


【解説】
当難では、脈象・疾病・診察の三方向から
虚実について説明している。

●脈象
当難では脈の有力・無力で虚実を表しているが、
実際はそれだけではなく
脈の太さ・形・リズム・浮沈などでも判断する必要がある。

●疾病
・伝変:「出者為虚」とは内傷病(七情)を意味し、
「入者為実」とは外感病を意味している。
・証状:「言者為虚、不言者為実。」とは外邪が鬱結し
言語障害の有無で虚実を表している。
・病勢:内傷病は慢性化しやすく正気を虚しやすい
その為進行が緩慢だが、外感病は病の進行が速い

●診察(切診)
五臓六腑が調い、気血の巡りが良いと
皮膚は柔らかく、筋肉はしなやかである。
藤本 蓮風先生は自身の著書
『体表観察学 日本鍼灸の叡智』(緑書房)の中で
「赤ちゃんの皮膚は特に柔らかさ、しなやかさがはっきりしているので参考になる。」
健康な人の皮膚・筋肉の状態を説明している。


<参考文献>
『難経鉄鑑』 たにぐち書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『中医診断学ノート』 東洋学術出版社
『体表観察 日本鍼灸の叡智』 緑書房

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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