こんにちは、為沢です。
漫画ですが書籍紹介します。
こちらは『Sunny』という松本大洋先生の漫画です。
僕にとって漫画は息抜きに読んだり、
漫画からインスピレーションを培ったりしているので
大変タメになっております。
こちらのSunnyは、著者の幼少時(1970年代くらい)の実話を基に描かれた話なので
現実味がある話なのですが、人情なども上手に描かれているので
少しホロッとくる話もチラホラあります。
また、画はとてもノスタルジックに描かれています。
なんというか、写実的に表現するのではなく、
記憶に残っている情景をそのままペンで描いたような…。
実写やアニメーションではなく、漫画でしか表現できない何かを感じます。
まさに職人技です。
画は少し癖があるように感じるかも知れませんが、
とてもいい漫画なので御紹介させて頂きました。御興味があれば是非☆
ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。
今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(中)百十四章と百十五章。
百十四章では、火邪が陰を犯した場合の証治について。
百十五章では、火邪により傷陽となった場合について述べております。
弁太陽病脈証并治(中)百十四章
太陽病、以火熏之、不得汗、其人必躁、到経不解、必清血、名爲火邪。
和訓:
太陽病、火を以て之を熏じ、汗を得ざれば、其の人必ず躁し、
経に到るも解せざれば、必ず清血し、名づけて火邪と為す。
・太陽病、以火熏之
太陽病に火療を用いて治療をした。
・不得汗、其人必躁、到経不解、必清血
津液を消耗してしまったため、身体に熱があっても汗が出ることはなく、
さらに火邪となって内にこもり、腎陰を傷つけるので、気分が落ち着かずイライラする。
7日目は病が六経すべて巡り終え、太陽経が旺盛になり、
病は解けていく時期であるが、しかしまだ解けず、
さらに火邪が経に随って裏に入り、陰脉(血脈)を傷つけたので血便となっているのである。
・名爲火邪
この場合は火法によって生じたのであるから「火邪」という。
提要:
火邪が陰を犯した場合の証治について。
訳:
太陽病の患者を火療法で治療したが、
発汗に失敗すると患者は必ずや煩燥して不穏の状態となるが
病邪が本経を行りおわってしまったのにまだ治癒しないなら、
必ずや血便などの証が出現するはずだ。
火逆によっておこった病なので、これを「火邪」と呼ぶ。
弁太陽病脈証并治(中)百十五章
脉浮熱甚、而反灸之、此爲実、実以虚治、因火而動、必咽燥吐血。
和訓:
脉浮に熱甚だしく、而るに反って之に灸するは、此れ実と為し、
実に虚を以て治すれば、火に因って動じ、必ず咽燥き吐血す。
・脉浮熱甚
脉浮で高熱が出ているのは表実で陽が鬱滞し化熱したためである。
・而反灸之、此爲実、実以虚治、因火而動、必咽燥吐血
灸治療は虚寒を主治する方法であるが、
この状態で用いると「実以虚治」とあるように誤った治療になり、
もとの熱はこの灸によってますます激しくなり、
さらに熱の発散ができず火邪となり、裏の少陰経に影響が及んでいく。
この経は膈を貫いて上行し、咽を巡って陽絡と会している。
従って火邪により陽絡が傷つき出血するので「必咽燥吐血」と書いている。
提要:
火邪により傷陽となった場合について。
訳:
脈は浮で発熱がひどいものを、医者が誤って灸法で治療した。
これは実証を虚証として治療しており、気血は火によって動かされ、
その結果必然的に咽喉の乾燥と吐血がおこる。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
為沢