二難曰。
脈有尺寸、何謂也。
然。
尺寸者、脈之大要会也。
従関至尺是尺内、陰之所治也。
従関至魚際是寸口内、陽之所治也。
故分寸為尺、分尺為寸。
故陰得尺内一寸、陽得寸内九分。
尺寸終始一寸九分、故曰尺寸也。
脈を診る部位に尺寸の区分があるが、
どのように分けるのか。
尺寸とは、経脈が会合するところである。
関部から肘窩の尺沢穴までの区域が
尺部で陰に属し、
関部から魚際までが寸部で陽に属す。
ゆえに、関部から上一寸を除いた下方が尺部であり、
関部から下一尺を除いた上方が寸部である。
尺寸を縮めて寸口の切脈部位にすると、
陰は一尺の内一寸となり、
陽は一寸の内九部となり、合計は一寸九部となる。
以上が、尺寸のいわれである。
<注>
尺寸:手関節から肘関節までの長さが一尺一寸あることによる。
肘窩の尺沢から関部の後ろまで長さ一尺のところが尺部、
関部の前一寸が寸部である。
関部:撓骨茎状突起のことで、尺寸を分ける境界部。
「従関至尺・・・陽之所治也。」
:尺が陰に属し、寸が陽に属すのかは、
五臓が反応する脈象の区域に関係する。
尺は腎の脈象が現れ、腎は陰中の陰なので
尺脈は陰に属す。
寸は心、肺の上焦の脈象が現れ、心は陽中の陽、
肺は陽中の陰なので、寸部は陽に属す。
魚際:母指の付け根のふっくらした肉厚の縁辺。
<参考文献>
「難経解説」 東洋学術出版社