こんにちは下野です。
先日、Yahoo!ニュースを見ていたら、
僕にとって非常に思い出深い方の記事を目にしました。
元ガンバ大阪の八十 祐治さん。
現在は弁護士として、人々の為に活躍されているようです。
僕が小学生の頃、家が近所ということから
突然 八十さんのご自宅へサインを貰いに行くという
今では何を考えているのかわからない事をしたことがあります。
その上、当時の主力選手(磯貝選手、本並選手)のサインも欲しいのですが・・・
という失礼極まりないお願いをしましたが、
八十さんは笑顔でサインを書いて下さり、後日 他の選手のサインまで貰って
来て下さいました。(こんな悪ガキの為に、よく書いてくれたなぁと今でも思います・・・
感謝、感謝です。)
今では 職種は違えども、お互い悩める人々を助ける生業。
八十さんの記事を見て、再度 自分の鍼に向かう姿勢・思いを
考えさせられました。ありがとうございます。
では気持ちを新たに『難経』の記事に参ります。
【原文】
三十六難曰、蔵各有一耳。腎独有両者、何也。
然。
腎両者、非皆腎也、其左者為腎、右者為命門。
命門者、諸神精之所舎、原気之所繫也、
男子以蔵精、女子以繫胞、故知腎有一也。
【現代語訳】
五臓はすべてひとつであるのに、
腎だけが二つあるのはどうしてなのか。
答え。
腎は二つあるが、両方とも腎であるというわけではない。
左にあるものを腎とし、右を命門と呼んでいる。
命門は精気と神気が宿る所であり、原気が関与する
生命の根源的な場所である。
男子はここに精を蔵し、女子では胞(子宮)と連係している。
このようなことから、腎は一つということがわかるのである。
【解説】
当難では、腎と命門について論じている。
腎は数の上では他の臓腑とは異なって二つあり、
一方を「腎」、もう一方を「命門」とよんでいる。
「命門」に関しては後世様々な学説が登場し、
燎原書店出版の『基礎中医学』には以下の様に
まとめられている。
●右腎を命門とする。
『難経』に見られ、左が「腎」、右を「命門」と区別しているが、
機能上では左右の区別はなく、生理機能上を示したもので、
二つとも腎だとしている。
岡本 一抱は『医学三蔵弁解』の中で
「難経で右腎命門と言っているのは、ただ腎に二つあるものの
その呼び名を分けて、右を命門と名付けているだけです。」
と書いている。
●両腎ともに命門とする。
腎と命門は同一であるとし、腎は実質的臓器、
命門はその機能として考えている。
●両腎の間を命門とする。
命門は両腎以外にあり、両腎の間に位置するという説。
命門は五蔵六腑の根源で、人身の主は心ではなく命門とし、
その機能は真火で一身の陽気を主持すると考える。
●腎間の動気を命門とする。
命門は両腎の中間にあり、形質を備えた臓器ではなく
絡属する経脈もないとする説。
両腎の間には、原気の枢機が存在し、
これが生命活動の根源で陰陽変化の依拠で、五行の運動
臓腑機能の根本であるとする。
非水非火から「腎間の動気」と呼ばれている。
このように様々な考え方があるが、
・命門の重要な生理機能は、生殖機能を主る。
・命門の生理機能と腎の生理機能は通じ合う。
という点では、どの説にも当てはまると考えられている。
<参考文献>
『難経鉄鑑』 たにぐち書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『臓腑経絡学』 アルテミシア
『基礎中医学』 燎原書店
『医学三蔵弁解』 たにぐち書店
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。