どうも、為沢です。
自分の手を描いてみました。
昔から手を描くのが好きで、
暇があれば描いてしまいます。なんでしょうか。
手フェチという訳ではないんですが
手って、人それぞれ色んな形をしてて
仕事や年齢によって表情が違ってきたりしてます。
その手からその人の歴史を感じるからでしょうか、
何かとても興味深いです。
(15分くらいで描いた絵なんで鉛筆が曲がってたりしてますが御愛嬌!)
では、今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(中)九十六章。
この章では、太陽病が少陽に内伝した場合の証治について述べております。
弁太陽病脈証并治(中)九十六章
傷寒五六日中風、往来寒熱、
胸脇苦満、嘿嘿不欲飲食、
心煩喜嘔、或胸中煩而不嘔、
或渇、或腹中痛、或脇下痞鞕、
或心下悸、小便不利、或不渇、
身有微熱、或欬者、小柴胡湯主之。方四十八。
柴胡半斤 黄芩三両 人参三両 半夏半升、洗
甘草炙 生薑各三両、切 大棗十二枚、擘
右七味、以水一斗二升、煮取六升、去滓、
再煎取三升、溫服一升、日三服。
若胸中煩而不嘔者、去半夏人参、加栝楼実一枚。
若渇、去半夏、加人参合前成四両半、
栝楼根四両。若腹中痛者、去黄芩、加芍薬三両。
若脇下痞鞕、去大棗、加牡蠣四両。
若心下悸、小便不利者、去黄芩、加茯苓四両。
若不渇、外有微熱者、去人参、
加桂枝三両、溫覆微汗愈。
若欬者、去人参大棗生薑、加五味子半升、乾薑二両。
和訓:
傷寒五六日中風、往来寒熱、胸脇苦満、嘿嘿として飲食を欲せず、
心煩喜嘔し、或いは胸中煩して嘔せず、或いは渇し、或いは腹中痛み、
或いは脇下痞鞕し、或いは心下悸し、小便利せず、或いは渇せず、
身に微熱あり、或いは欬するものは、小柴胡湯之を主る。
柴胡半斤 黄芩三両 人参三両 半夏半升、洗う 甘草炙る 生薑各三両、切る 大棗十二枚、擘く
右七味、水一斗二升を以て、煮て六升を取り、滓を去り、
再び煎じて三升を取り、一升を溫服し、日に三服す。
若し胸中煩して嘔せざるものは、半夏人参を去り、栝楼実一枚を加う。若し渇せば、
半夏を去り、人参を加え前と合わせて四両半と成し、
栝楼根四両を加う。若し腹中痛むものは、黄芩を去り、芍薬三両を加う。
若し脇下痞鞕せば、大棗を去り、牡蠣四両を加う。
若し心下悸し、小便利せざるものは、黄芩を去り、茯苓四両を加う。
若し渇せず、外に微熱あるものは、人参を去り、桂枝三両加え、溫覆して微かに汗すれば愈ゆ。
若し欬するものは、人参大棗生薑を去り、五味子半升、乾薑二両を加う。
・傷寒五六日中風
太陽病は中風、傷寒にかかわらず
5〜6日経過しても治らない場合、
多くは半表半裏に邪が内伝して少陽病になる。
・往来寒熱
悪寒と発熱が交互にあらわれる少陽病特有の熱型で、
正気と邪気が半表半裏で争い、表へも裏へも行かれない状態をいう。
・胸脇苦満
胸部は表から裏へ、裏から表への門戸、
脇は胆経が循るところで
胸脇苦満とは、少陽にある熱邪が胆に伝わって
胆気(火気)が滞った状態である。
・嘿嘿不欲飲食
「嘿嘿」とは気持ちがふさぎ込む様子を現す。
胆の火気が胃に影響を与えて中焦の気が滞れば
気持ちがふさぎ込み、食欲がなくなる。
・心煩喜嘔、或胸中煩而不嘔
「喜嘔」とは嘔吐しやすい、嘔吐したがる様子。
熱邪が心に影響を与えれば「心煩」し、
食物が消化されずに内に滞って胃の下降作用が失調すれば
「喜嘔」がそれぞれ起こる。
あるいは、胸がムカムカして吐きたいが吐けない。
・或渇、或腹中痛、或脇下痞鞕
或いは口が渇き、或いは腹中が痛む。
「痞」とは気が結滞して通じず、詰まった感じがある様子。
ここでは、脇下が堅く詰まった様子を現している。
・或心下悸、小便不利、或不渇、
身有微熱、或欬者、小柴胡湯主之
或いは動悸がして小便が出にくくなり、
或いは口渇はないが少し微熱があったり
咳が出るといった症状がある場合、
これらは小柴胡湯が主治する。
小柴胡湯(しょうさいことう)
方義
・柴胡
基原:セリ科のミシマサイコ、またはその種の根。
日本や韓国で栽培利用されているのは本種である。
柴胡は苦微辛・微寒で芳香を有し、軽清上昇して宣透疏達し、
少陽半表半裏の邪を疏散して透表泄熱し、清陽の気を昇挙し、
かつ肝気を疏泄して欝結を解除する。
それゆえ、邪在少陽の往来寒熱に対する主薬であり、
肝気欝結の胸脇脹痛・婦女月経不調や
清陽下陥の久瀉脱肛などにも常用する。
・黄芩
基原:
シソ科のコガネバナの周皮を除いた根、内部が充実し、
細かい円錐形をしたものを条芩、枝芩、尖芩などと称し、
老根で内部が黒く空洞になったものを枯芩、
さらに片状に割れたものを片芩と称する。
黄芩は苦寒で、苦で燥湿し寒で清熱し、
肺・大腸・小腸・脾・胆経の湿熱を
清利し、とくに肺・大腸の火の清泄に長じ
肌表を行り、安胎にも働く。
それゆえ、熱病の煩熱不退・肺熱咳嗽・湿熱の痞満・瀉痢腹痛・
黄疸・懐胎蘊熱の胎動不安などに常用する。
また瀉火解毒の効能をもつので、
熱積による吐衄下血あるいは
癰疽疔瘡・目赤腫痛にも有効である。
とくに上中二焦の湿熱火邪に適している。
ここでは、清熱燥湿に働く。
・人参
基原:ウコギ科のオタネニンジンの根。
加工調整法の違いにより種々の異なった生薬名を有する。
人参は甘・微苦・微温で中和の性を稟け、
脾肺の気を補い、生化の源である
脾気と一身の気を主る
肺気の充盈することにより、一身の気を旺盛にし、
大補元気の効能をもつ。
元気が充盈すると、益血生津し安神し智恵を増すので、
生津止渇・安神益智にも働く。
それゆえ、虚労内傷に対する第一の要薬であり、
気血津液の不足すべてに使用でき、
脾気虚の倦怠無力・食少吐瀉、
肺気不足の気短喘促・脈虚自汗、
心神不安の失眠多夢・驚悸健忘、
津液虧耗の口乾消渇などに有効である。
また、すべての大病・久病・大吐瀉による
元気虚衰の虚極欲脱・脈微欲絶に対し、
もっとも主要な薬物である。
・半夏
基原:
サトイモ科のカラスビシャクの
塊茎の外皮を除去して乾燥したもの。
半夏は辛散温燥し、水湿を行らせ逆気を下し、
水湿を除けば脾が健運して痰涎は消滅し、逆気が下降すると
胃気が和して痞満嘔吐は止むので
燥湿化痰・和胃消痞・降逆止嘔の良薬である。
それゆえ、脾虚生痰の多痰、痰濁上擾の心悸・失眠・眩暈、
痰湿犯胃の悪心嘔吐・飲食呆滞・心下痞結にもっとも適する。
また、適当な配合を行えば、
痰湿犯胃の咳喘・胃虚や胃熱の嘔吐・
痰湿入絡の痰核などにも使用できる。
このほか、行湿通腸するので老人虚秘にも効果がある。
生半夏を外用すると癰疽腫毒を消す。
・甘草
基原:
マメ科のウラルカンゾウ、
またはその他同属植物の根およびストロン。
甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、
甘緩で緩急に働き、補中益気・潤肺祛痰・止咳・
清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。
そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。
また、薬性を調和し百毒を解すので、
熱薬と用いると熱性を緩め
寒薬と用いると寒性を緩めるなど
薬性を緩和し薬味を矯正することができる。
ここでは甘緩和中と諸薬の調和に働く。
・生薑
基原:
ショウガ科のショウガの新鮮な根茎。
日本では、乾燥していない生のものを鮮姜、
乾燥したものを生姜を乾生姜という
こともあるので注意が必要である。
生薑は辛・微温で肺に入り発散風寒・祛痰止咳に、
脾胃に入り温中祛湿・化飲寛中に働くので
風温感冒の頭痛鼻塞・痰多咳嗽および水湿痞満に用いる。
また、逆気を散じ嘔吐を止めるため、
「姜は嘔家の聖薬たり」といわれ
風寒感冒・水湿停中を問わず
胃寒気逆による悪心嘔吐に非常に有効である。
・大棗
基原:
クロウメモドキ科のナツメ。
またはその品種の果実。
甘温で柔であり、補脾和胃と養営安神に働くので、
脾胃虚弱の食少便溏や営血不足の
臓燥など心神不寧に使用する。
また薬性緩和にも働き、
峻烈薬と同用して薬力を緩和にし、脾胃損傷を防止する。
ここでは、脾胃を補うとともに
芍薬と協同して筋肉の緊張を緩和していく。
また、生薑との配合が多く、
生薑は大棗によって刺激性が緩和され、
大棗は生薑によって気壅致脹の弊害がなくなり、
食欲を増加し消化を助け、
大棗が営血を益して発汗による
傷労を防止し、営衛を調和することができる。
・小柴胡湯について
本方は、少陽半表半裏証に対する主方であり、
少陽枢機を通調し達邪外解する。
主薬は少陽の専薬である柴胡で、
軽清昇散により少陽の気機を通達し疏邪外透する。
苦寒の黄芩は、少陽の鬱熱および鬱変した胆火を清する。
柴胡で散じ黄芩で清することにより祛邪するのである。
半夏・生薑は辛温で和胃降逆・散結消痞し、黄芩とともに辛開苦降に働く。
益気の人参は扶正によって散邪を助け、
大棗・炙甘草・生薑は中焦を振奮し衛気を宣発し、
邪が裏へ侵入するのを防止する。
全体で祛邪を主とし正気にも配慮して胃気を和しており、
「上焦は通ずるを得、津液は下るを得、胃気よりて和し、身に濈然と汗出でて解す」
の効果が得られ、汗・吐・下によらず邪を除くので「和解」と称する。
提要:
太陽病が少陽に内伝した場合の証治について述べている。
訳:
傷寒或いは中風に罹って五六日が経ち、
悪寒と発熱が交互に出現し、
胸脇が詰まった感じ、心中が憂鬱で食欲がわかない、
心がイライラして頻繁な悪心嘔吐、
或いは胸が煩悶するが悪心嘔吐しない、
或いは口渇、或いは腹痛、或いは両脇が張って痞えて硬い、
或いは心下に動悸して尿の出が悪い、
或いは口渇がないが、しかし軽微な発熱がある、
或いは咳嗽する、以上のものは小柴胡湯で治療する。
処方を記載。第四十八法。
柴胡半斤 黄芩三両 人参三両 半夏半升、洗う 甘草炙る 生薑各三両、切る 大棗十二枚、裂く
右の七味を、一斗二升の水で、六升になるまで煮て、滓を除き、さらに三升になるまで煎じ、
一升を温服、一日三回服用する。もし胸が煩悶するが悪心嘔吐がなければ、
半夏と人参を抜いて、栝楼実一個を加える。もし口渇があれば、半夏を抜き、
人参を増量して合計四両半とし、そして栝楼根四両を加える。
もし腹痛するなら、黄芩を抜いて、芍薬三両を加える。
もし脇が張って硬ければ、大棗を抜いて、牡蠣四両を加える。
もし心下に動悸があり、尿の出が悪ければ、黄芩を抜いて、茯苓四両を加える。
もし口渇がなくても、微熱があれば、人参を抜いて、桂枝三両を加え、被って温かくすれば汗が出て治る。
もし咳嗽するなら、人参、大棗、生薑を抜いて、五味子半升と、乾薑二両を加える。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
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為沢