こんにちは下野です。
先日、あるテレビ番組で
「HATAKEYAMA」という野球メーカーの
グラブ職人さんの特集が放送されておりました。
実は僕、学生時代にHATAKEYAMAのグラブに憧れて、
バイト代を全額つぎ込み、オーダーグラブを作ってもらいました。
僕の手形から、キャッチングの癖まで事細かく聞いてもらい、
僕の手にしか合わないモノを作って頂きましたが、
良いモノを使っても野球が上手くなるわけでは無く、
やはり日々の努力が大切となります。
これは鍼灸にも通じ、
患者さんの症状を治しても、決して傲慢になることはせず、
コツコツと経験・勉強を積み重ね、
一人前の術者とならないといけません。
テレビと自分のグラブを見ながら、
常に初心を忘れてはいけないなと、ふと思いました。
では『難経』第三十二難に参りましょう。
【原文】
三十二難曰、五蔵倶等、而心肺独在鬲上者何也。
然。
心者血、肺者気。血為栄、気為衛、相随上下、謂之栄衛、
通行経絡、営周於外、故令心肺在鬲上也。
【現代語訳】
五臓には優劣がないのに、
心と肺だけが横隔膜より上にあるのはどうしてなのか。
答え。
心は血を主り、肺は気を主る。
血は営となり、気は衛となり、互いに上下して随行することから
営・衛と称され、経絡の中を行き、全身を巡り回る。
それ故に、心肺は膈の上に位置しているのである。
【解説】
当難では、心・肺の位置と
気血営衛との関係について論じている。
『素問』五臓生成篇には
「諸血者、皆属於心、諸気者、皆属於肺」
(あらゆる血はみな心に統まり属する。あらゆる気はみな肺に帰り属する。)
と記載され、心は血を、肺は気を主ることを説明している。
そして血は営となり、気は衛となり、
血(営)と気(衛)は隨って離れることができない関係だと考えられている。
(この関係については『難経』第三十難→こちらで説明しております。)
心・肺は営衛を主り、陽気を通行させていることと、
心・肺は共に汚れのない臓で陽気の非常に強い臓と考えられている。
この為、心・肺は上焦に位置していると考えられる。
<参考文献>
『難経解説』 東洋学術出版社
『難経鉄鑑』 たにぐち書店
『基礎中医学』 燎原書店
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『やさしい中医学入門』 東洋学術出版社
『臓腑経絡学』 アルテミシア
『現代語訳 黄帝内経素問 上巻』 東洋学術出版社
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是非参考文献を読んでみて下さい。