こんにちは、為沢です。
患者さんから、海外旅行のお土産で御菓子を戴きました。
絵は、その御菓子の缶です。
(T.Aさん、ありがとうございます!おいしくいただきました!!)
御菓子の缶って何かの入れ物に使おうと思って
捨てずに残してしまいます。
これを貧乏性というのでしょうか?(笑)
いや、でも重宝してます。裁縫道具など入れてます。
最近、オイルパステルに凝っていまして描いてみました。
子どもみたいに指先汚しながら描いてますが、
一度描きだしたら寝食忘れるくらい面白いです。
また、他に描いたら御紹介しようかと思います。
では、今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(中)八十一章と八十二章。
八十一章では、 梔子湯の禁忌証について。
八十二章では、誤って発汗させたために陽虚となり、
水が溢れ動いてしまった場合の証治について。それぞれ詳しく述べております。
弁太陽病脈証并治(中)八十一章
凡用梔子湯、病人旧微溏者、不可与服之。
和訓:
凡そ梔子湯を用いるに、病人旧微かに溏するものは、
与えて之を服さしむべからず。
・凡用梔子湯、病人旧微溏者、不可与服之
梔子は瀉火・開鬱・除煩の作用をもちその気味は苦・寒で
熱が胸郭に停滞する者のみに適用する。
もしも陽虚で下焦に寒があり、日頃から大便が少し下痢気味の者に
梔子を用いれば陰・寒が益々甚だしくなるので、これを用いてはいけない。
提要:
梔子湯の禁忌証について
訳:
およそ梔子の湯液を使用する場合はよく配慮せねばならない。
例えば平素から大便が下痢気味の患者には服用させてはならない。
八十二章
太陽病發汗、汗出不解、其人仍發熱、
心下悸、頭眩、身瞤動、振振欲擗一作擗。
地者、真武湯主之。方四十三。
茯苓 芍藥 生薑各三両、切 白朮二兩 附子一枚、炮、去皮、破八片
右五味、以水八升、煮取三升、去滓、溫服七合、日三服。
和訓:
太陽病發汗し、汗出ずるも解せず、其の人仍發熱し、
心下悸、頭眩、身瞤動し、振振として地を擗つ一つは擗に作る。
茯苓 芍薬 生薑 各三両、切る 白朮二両 附子一枚、炮ず、皮を去る、八片に破る
右五味、水八升を以て、煮て三升を取り、
滓を去り、七合を溫服し、日に三服す。
・太陽病發汗、汗出不解、其人仍發熱
太陽病は発汗法を用いると表解するはずだが、
腎陽が虚している場合、表証が解けないだけでなく、
衛気が外に泄れ、少陰の気までも表に出て「発熱」とう症状が起こる。
・心下悸、頭眩、身瞤動、振振欲擗。地者、真武湯主之
この状態が続くと上方に逆して心火を犯すようになると、
「心火悸」となって精神的にも不安となり、
上に昇るべき陽気の流れを阻むので「頭眩」となる。
陽気は神(情志)を養い、その働きが柔らかなときは筋を養うから、
陽虚であれば筋は養われない。
さらに水が溢れ筋が犯されるので
「身瞤動、振振欲擗」という症状があらわれる。
少陰本来の壮火が表に浮いたために水が泛濫し生じたのである。
真武湯を用いて、腎を回復し、
脾土の働きを高めて利水を図っていけばよい。
真武湯(しんぶとう)
方義
・茯苓(ぶくりょう)
基原:サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。
茯苓は甘淡・平で、甘で補い淡で滲湿し、
補脾益心するとともに利水滲湿に働き、
脾虚湿困による痰飲水湿・食少泄瀉および
水湿内停の小便不利・水腫脹満に必須の品であり、
心脾に入って生化の機を助け
寧心安神の効能をもつので、
心神失養の驚悸失眠・健忘にも有効である。
茯苓の特徴は
「性質平和、補して峻ならず、利して猛ならず、
よく輔正し、また祛邪す。脾 虚湿盛、必ず欠くべからず」といわれるが、
性質が緩やかであるところから
補助薬として用いることが多い。
・芍薬(しゃくやく)
基原:ボタン科のシャクヤクのコルク皮を除去し
そのままあるいは湯通しして乾燥した根。
芍薬には<神農本草経>では赤白の区別がされておらず
宋の<図経本草>ではじめて
金芍薬(白芍)と木芍薬(赤芍)が分けられた。
白芍は補益に働き赤芍は通瀉に働く。
桂枝湯では白芍を用いる。
白芍は苦酸・微寒で、酸で収斂し苦涼で泄熱し、
補血斂陰・柔肝止痛・平肝の効能を持ち諸痛に対する良薬である。
ここでは白芍を用いる。
白芍は血虚の面色無華・頭暈目眩・
月経不調・痛経などには補血調経し、
肝鬱不舒による肝失柔和の胸脇疼痛・
四肢拘孿および肝脾不和による
腹中孿急作痛・瀉痢腹痛には柔肝止痛し、
肝陰不足・肝陽偏亢による頭暈目眩・肢体麻木には斂陰平肝し、
営陰不固の虚汗不止には斂陰止汗する。
利小便・通血痺にも働く。
・生薑(しょうきょう)
基原:
ショウガ科のショウガの新鮮な根茎。
日本では、乾燥していない生のものを鮮姜、
乾燥したものを生姜を乾生姜と
いうこともあるので注意が必要である。
生薑は辛・微温で肺に入り発散風寒・祛痰止咳に、
脾胃に入り温中祛湿・化飲寛中に働くので
風温感冒の頭痛鼻塞・痰多咳嗽および水湿痞満に用いる。
また、逆気を散じ嘔吐を止めるため、
「姜は嘔家の聖薬たり」といわれ
風寒感冒・水湿停中を問わず
胃寒気逆による悪心嘔吐に非常に有効である。
・白朮(びゃくじゅつ)
基原:
キク科のオオバナオケラの根茎。
この他、日本薬局方では
オケラの周皮を除いた根茎を規定しており、
日本では一般にこれが流通している。
白朮は甘温で補中し苦で燥湿し、
補脾益気・燥湿利水の効能を持ち、健脾の要薬である。
脾気を健運し水湿を除いて痰飲・水腫・泄瀉を消除し、
益気健脾により止汗・安胎にも働く。
それゆえ、脾虚不運の停痰停湿・泄瀉腫満に対する主薬であり、
表虚自汗および脘腹脹満・胎動不安にも用いる。
・附子(ぶし)
基原:
キンポウゲ科のカラトリカブト、その他の同属植物の子根。
加工・炮製して利用することが多い。
附子は辛熱壮烈であり、
「走きて守らず」で十二経を通じ、
下焦の元陽(命火)を峻補して裏の寒湿を除き、
皮毛に外達して表の風寒を散じる。
それゆえに亡陽欲脱の
身冷肢冷・大汗淋漓・吐利不止・
脈微欲脱てんなどには回陽救逆し、
腎陽不足の陽痿滑精・腰膝冷弱には補火壮陽し、
脾腎陽虚・陰寒内盛の心腹冷痛・吐瀉転筋には温裏散寒し、
陽虚不化水湿の身面浮腫・腰以下種甚には
助陽行水して冷湿を除き、
風寒湿痺の疼痛麻木には祛風散寒止痛し、
陽気不足の外感風寒で悪寒発熱・
脈沈を呈するときは助陽発表する。
このほか、補益薬と用いると
一切の内傷不足・陽気衰弱に使用できる。
提要:
誤って発汗させたために陽虚となり、
水が溢れ動いてしまった場合の証治について
訳:
太陽病に罹ったので発汗させたら、
汗は出たが、患者は依然として発熱し
また心下部に悸動を覚え、頭目は眩暈し、
全身の筋肉が跳動し、身体が揺れ動いて立っておれず、
地面に倒れそうになったものは真武湯で治療する。
処方を記載。第四十三法。
茯苓 芍薬 生薑各三両、切る 白朮二両 附子一個、炮じる、皮を除く、八片に割る
右の五味を、八升の水で、三升まで煮て、滓を覗き、七合を温服し、一日三回服用する。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
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為沢