下積み修行中の木村さんのお勉強記事です。
勉強不足で至らない内容ですが、
少しずつ学び成長して参りますのでお許し下さい。
不出来なところもあるかと思われますが、
成長とともに少しずつお返しして参りますので
どうか見守り 応援してやって下さい。
大便下血
大便下血とは血便のこで、出血だけのことや
先便後血・先血後便・便血雑下などがあります。
歴代の医書中ではさまざまな名称で呼ばれ、
≪霊枢・百病始生篇≫では「後血」、
≪素問・陰陽弁論≫では「便血」、
≪傷寒論≫では「圊血( セイケツ)」とあり、
≪金匱要略≫では「下血」と称するとともに
下血と排便の違いにより「遠血」「近血」に分けています。
後世の≪医学入門≫では「血箭(ケツセン)」と称し、
「その便血すなわち出ること有力なるにより、
箭をこれ遠きに射するがごときなり」と述べています。
≪寿世保元≫では排便前に四方にとびちるように
鮮紅色の出血があるものを「腸風」と称しています。
≪医学入門≫≪血証論≫では暗赤色の下血で
肛門が硬く腫れて痛むものを「臓毒」と述べております。
肝腎陰虚の血便
<症状>
血便・頭のふらつき・目まい・顔面紅潮・五心煩熱
不眠・体の熱感・盗汗・夢精
腰がだるく痛む・四肢倦怠感・るい痩
舌質は紅絳・脈は細数
<解説>
虚証で過労により頻発するのが特徴であります。
肝腎陰虚の血便は慢性疾患による営陰の消耗・飲酒や
性生活の過度による腎陰の損傷・肝鬱化火により陰液の損耗などで、
肝腎の陰血が不足して陰虚火旺となり、
熱が陰絡を損傷して生じます。
特徴は、先便後血して深紅の血液が点滴し、
出血量は多くなく、排便後に疲れて立っていられず、
口や喉の乾燥・五心煩熱
不眠・多夢など陰虚火旺の症候を伴うことであります。
治法は滋陰降火・養血寧血で、
三甲復脈湯を用います。
焦燥感・不眠があれば黄連阿膠湯を使用します。
脾腎陽虚の血便
<症状>
血便・腹部鈍痛・顔色につやがない・四肢倦怠感
ものをいうのがおっくう・少食・軟便・寒冷を嫌う
尿量が多くうすい・舌質は淡白・脈は沈細で無力
<解説>
陽虚の体質・過労・大病などで、脾腎の陽気が消耗し、
脾気が虚して血の統摂ができず、
腎気が虚して封蔵できないために、
陰絡から血が溢れ発生します。
特徴は先便後血の「遠血」で、
うすく暗淡あるいは黒色粘調で柏油状を呈すことであります。
また下血が長時間つづくと陰液の消耗が陽気に及び、
陽虚では陰を統摂できなくなるので、
顔色が淡でつやがない・息ぎれ・ものをいうのがおっくう
四肢の冷え・寒冷を嫌う・腹部の鈍痛・尿がうすい
軟便・舌質は淡・脈は微などの症候をともないます。
治法は健脾温腎・益気摂血で黄土湯を用います。
慢性に経過して中気下陥の脱肛をともなうときは補中益湯を用います。
便血が長時間続く時は固腸散を配合して固腸止血し、
頻回の下痢を防止します。
※黄土湯(オウドトウ)
温陽健脾により摂血し、兼ねて陰血を補います。
主薬は灶心黄土(伏竜肝)で、温中するとともに収渋止血に働きます。
温陽健脾の附子・白朮がこれを補佐し、
脾陽を健運し脾気をつよめて血の統摂を回復します。
生地黄・阿膠は滋陰養血すると同時に止血し、
苦寒の黄芩とともに附子・白朮の温燥を制約します。
また附子・白朮は生地黄・阿膠を滋膩呆滞させません。
甘草は諸薬を調和し和中します。
全体で温陽止血して傷陰せず、滋陰養血して脾陽を阻滞せず、
温脾止血の効果が得られます。
●便血を鑑別するには、病因・病理機序・主な兼症を把握するほか、
便血の遠近・色沢・質などの特徴を観察して
病位と病性を明確にし、治法を確立することが重要であります。
≪証治滙補≫に「清血を純下するときは、風なり。
色烟塵のごときは、湿なり。色暗きは寒なり。色紅きは熱なり」
とあり、≪類証治裁≫にも「その血色鮮稠は実熱迫注たり、
・・・色稀淡は脾胃虚寒たり」とあります。
先血後便で血色が精鮮な「近血」は、
病位が大腸・肛門にあり、
風火湿熱による熱証・実証で軽症であり、
治法は祛邪を主とします。
先便後血で血色が暗色の「遠血」は、
病位が小腸と胃にあり、飲食の不節制や過労によって
臓腑の陰陽が失調したもので、病状は深く重く虚証であり、
治法は扶正を主とします。
四方にとびちるように下血し、
鮮紅色のものは、外風の侵入によるか、
内風が大腸を侵犯して「腸風」となったものであります。
汚濁の血を下血し、肛門が硬く腫れて痛むのは
湿が欝して化毒し、大腸・肛門を犯して陰絡を損傷した「臓毒」であります。
参考文献:
『症状による中医診断と治療 上巻』 燎原
『中医臨床のための方剤学』
医歯葉出版株式会社
『中医基礎用語辞典』
東洋医学出版社
木村