どうも、新川です。・
暦でいえば、
このゴールデンウィーク中に立夏となり、
「蛙始鳴」 蛙が鳴き始める 時分でもあります。
小さい頃は、
夏になると蛙の大合唱が家の周りから聞こえ、
今思うとえらい田舎に住んでいたなと思います。
さて今回は、
気厥論篇についてです。
今回は、気厥論篇について綴って参ります。
本来ならここにまとめてある以上の内容がありますが、
なるべく分かりやすくするため、
一部を抜粋して表現させて頂いております。
【気厥論篇 第三十七】
本篇では寒熱証の伝変を論じ、
そのときの各種の疾病の説明をしている。
寒熱の伝変の全体的病理機序は、蔵府の気の位相の逆乱にあるため、
「気厥論篇」と称される。
黄帝が問う。
「五蔵六府の寒熱が相互に伝変すればどのようになるか。」
岐伯が答える。
「・腎が寒を脾に移し伝えれば、癰腫と少気を病みます。
癰腫→癰とは壅であり、
「塞き止める」という意味がある。
腎がその寒水の気を、逆に〔自己に〕勝つ〔土〕に伝え、
脾の土気侮り侵すので、壅塞して浮腫となる。
少気→〔腎〕の寒が盛んであると陽が下部で虚し、
陽が虚となると気を化すことがなくなってしまう。
気虚不足を指す。
・脾が寒を肝に移し伝えると、癰腫や筋の痙攣を病みます。
・肝が寒を心に移し伝えると、発狂と胸中の閉塞感を病みます。
隔中=胸中の閉塞感
→『霊枢』邪気蔵府病形篇
「隔中とは、飲食物が入るとすぐまた出てきて、その後で沫を吐くものである」
・心が寒を肺に移し伝えると、肺気は消耗されて肺消となります。
肺消→飲水が一とすれば排尿は二もあるもので、
これは死症であり、治すことはできません。
肺が寒を腎に移し伝えれば、涌水となります。
涌水というのは、腹を押さえても堅くはないのですが、
水気が大腸の間を冒しており、
水気が勢いよく走れば腹の中でドクドクという音がして、
皮袋に水を入れたような状態。水気の病。
・脾が熱を肝に移し伝えれば、暫くして次第に虚損となり、
さらに下痢が現れれば死症で治すことはできません。
・胞が熱を膀胱に移し伝えれば、排尿困難となり血尿が出ます。
・膀胱が熱を小腸に移し伝えれば、
腸道は塞がれて便秘となり、熱気が上昇して口と舌が糜爛となります。
・小腸が熱を大腸に移し伝えれば、熱が結滞して散らず、
伏瘕となったり痔となったりします。
・大腸が熱を胃に移し伝えれば、食餌量を増すのですが、かえって痩せてしまいます。
これを食亦といいます。
食亦→「亦」とは怠惰の意味。
よく食べるが、身体はかえって痩せ、
ものうくなって体力の衰えること。
・胃が熱を胆に移し伝えれば、これもまた食亦といいます。
・胆が熱を脳に移し伝えれば、鼻の奥が痛くなって鼻淵となります。
鼻淵→常に濁った鼻汁が出てとまらないもので、
暫くすれば鼻から出血して目が見えなくなる。
以上の様々な症状は、いずれも寒熱の気が厥逆して、
蔵府から蔵府へと伝変して病変を生じるものです。」
【要点】
本篇は蔵府間における寒熱の気の伝変によって、
多くの病変が生ずる事について論じている。
寒熱の気の厥逆が様々な疾病を引き起こしうることを説くと同時に、
他方では蔵府の間に密接な関係があることを説くのである。
一蔵に疾病があれば、他の蔵府にも影響が及びうる。
黄帝問曰、五蔵六府、寒熱相移者何。
岐伯曰、腎移寒於脾、癰腫、少気。
脾移寒於肝、癰腫、筋攣。
肝移寒於心、狂、隔中。
心移寒於肺、肺消。肺消者、飲一溲二、死不治。
肺移寒於腎、為涌水。涌水者、按腹不堅。水気客於大腸、疾行則鳴濯濯、如嚢裹漿。水之病也。
脾移熱於肝、則為驚衄。
肝移熱於心、則死。
心移熱於肺、伝為鬲消。
肺移熱於腎、伝為柔痓。
腎移熱於脾、伝為虚、腸澼死、不可治。
胞移熱於膀胱、則癃溺血。
膀胱移熱於小腸、鬲腸不便、上為口麋。
小腸移熱於大腸、為虙瘕、為沈。
大腸移熱於胃、善食而痩。又謂之食亦。
胃移熱於胆、亦曰食亦。
胆移熱於脳、則辛頞鼻淵、鼻淵者、濁涕下不止也、伝為衄衊瞑目。故得之気厥也。
参考文献:
『黄帝内経素問 中巻—現代語訳』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版
『臓腑経絡学』 アルテミシア
『素問ハンドブック』 医道の日本社
新川