こんにちは。大濱です。
足三里について調べたことを書いていきます。

<要穴>
○ 足陽明胃経 合土穴(土経の土穴)
◯ 胃の下合穴

理(古くは里は理に通じる)
腹部の上中下三部の諸証状を治すことから命名された。
別名:下陵、鬼邪 など
回陽九鍼穴の一つである。
『鍼灸聚英』回陽九鍼歌より
瘂門勞宮三陰交,湧泉太谿中脘接,環跳三里合谷并,此是回陽九鍼穴

< 穴性 >
補中気・健脾胃
⇨ 健脾養胃・補中益気・化湿
⇨ 和胃通腸・祛痰導滞・止嘔

肚腹病の常用穴とされる。
『霊枢』邪気臓腑病形篇では、
「合は内腑を治す」と述べている。
足陽明胃経の合穴である足三里は、胃腑病、経病、気化病、
胃と関係のある臓腑器官の病変治療に常用されている。
更に、中気を補し、脾胃を健やかにする作用があるため、
脾虚と関係のある肚腹病を治すことができる。

 

< 治療範囲・特性 >
1. 肚腹病
胃は経絡を通じ、
心、脾、肺、肝、胆、大腸、小腸,膈と密接に関わり相互に影響し合う。
胃病は腸、脾に影響し、
脾病は胃腸、肝胆に影響する。
腸病は脾胃に影響を与え、
肝病は脾、胃、胆に、
胆病は肝、胃に影響する。
胃を治すことは、腸、脾にとって有益であり、
脾を治すことは胃、腸、肝、胆にとって有益である。
肝を治すことにより益胃、益脾、利胆をはかることができ、
胆を治すことは肝、胃などに有益である。

足陽明胃経の合穴である足三里は、
和胃、健脾、通腸導滞、健脾益気の作用がある。
脾胃、肝、胆、腸が相互に影響しておこる病証、
胃と関係する脾、肝、胆、大小腸の肚腹病の治療に本穴を用いることが可能になる。
「肚腹三里に留める」の意はここにある。

心、肺、膈病証、傷寒病中の陽明腑証、太陰証と厥陰証の寒熱錯雑型、
温病気分証の熱結腸道型も治療範囲に入る。

 

2. 脾胃と関係する虚証
① 脾胃は後天の本であり、気血生化の源である。
脾胃の「納・運」機能が失調して気血生化不足(気血両虚)となると
臓腑、器官、肢体に病証をひきおこす。
これらの治療に本穴を取って脾胃を調理し本治をはかることができる。
また病後の体弱に脾胃の調養をはかるときにも本穴を用いることができる。

②『霊枢』五味では
「胃は五臓六腑の海なり、水穀は胃に入り、五臓六腑は皆気を胃に稟く」
と述べている。
李東垣も脾胃が内傷すると百病がこれによりおこるという病機学説を唱えており、
「脾胃の気が損傷すると元気も十分ではなくなり、諸病が生じる」と述べている。
脾胃の調理、健壮を重視する際の治療方法として本穴を配穴するとよい。

 

3. 虚脱証
足三里は中気を補す作用がある。
補気によって回陽固脱をはかることができる。
このため先人は、本穴を回陽九針穴の1つに加えている。
久病のため元気が衰弱している場合、急病の陽気暴脱と中気不足による病証など
本穴の治療範囲に入る。

 

4. 痰湿証
『行針指要歌』の一節「あるいは痰に針するは、先に中脘、三里に針す」
水、飲、痰の形成には脾、肺、腎の三臓が密接に関係する。
脾に原因があって生じた痰湿には、本穴で健脾去湿をはかり止痰をはかるとよい。
痰湿が胃に集まっている場合は和胃行湿をはかり降湿をはかるとよい。
しかし土が旺盛である場合は、湿を制御することができるため痰湿証は生じない。
足三里には健脾去湿、去湿益脾の作用があり、湿や湿の生成を制御することができる。
したがって痰飲、癇証、狂証、癲証、哮証など
痰や疾湿による病証には本穴を配穴するとよい。

 


《参考文献》
『臨床経穴学』 著:李世珍
『穴性学ハンドブック』 著:佐藤弘 伴尚志
『中医臨床』 第38巻第1号

 

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