こんにちは、大濱です。
今回抜粋する諸説は、穴性や陰陽驕脈について
あまり触れられていませんが、
前回の「陽蹻脉と陰蹻脉の運行、 衛気の運行と関連して説明することができる。」
という内容から発展して、
眼瞼の開閉と睡眠との関連について
興味深い記述がありましたので、
『奇経八脈考』を読み進めていきました。

< 衛気の運行と睡眠 >
『霊枢』(邪客・第七十一)
衛気は、その素早くて荒々しい性質によって、
四肢の筋肉と皮膚の間を運行し、休むことがない。

昼は陽分を、夜は陰分を運行している。
常に足少陰腎経から始まり、五蔵六府を循っている。

ところが、逆した邪気が五蔵六腑に留まると、
衛気は陽分を運行するだけで、
陰分に入ることができなくなる。

その結果、陽気が偏盛となり、
脈もその影響で異常な状態となって、
脈気が充満してしまう。
このとき衛気は夜になっても陰分に入れず
陰気は虚しており、安静が保てない。
それで目を閉じて眠ることができなくなるのである。」

 


< 眼瞼の開閉と睡眠 >
『霊枢』(経筋・第十三)李時珍の注、
「足の太陽の経筋は、目の上綱となり、
足の陽明の経筋は、目の下綱となっている。
寒があれば筋肉は緊張して、眼瞼を閉させなくなる。
熱があれば筋肉は弛緩して、眼瞼を開けなくなる。」

『霊枢』営衛生会・第十八
「若者は血気が盛んで、筋肉は柔軟で、
営気と衛気の運行も調和がとれて順調である。
昼は精気が充実していて、夜は熟睡できるのである。
これに対し老人は、血気が衰え、筋肉も枯れ痩せ、
気の流れる道も渋滞し、営気は衰少し、
衛気は中に入りこんで営気と争うようになる。
そこで昼は元気がなくてぼんやりとしており、
夜は夜で熟睡できなくなるのである。」

『霊枢』大惑論・第八十
「いつも眠たがる人は、胃腸が寛大で、
皮膚が渋って、筋肉の間の気血の流れも悪くなる。
このため、気の運行が遅れて、陰分に留る時間が長くいつも眠たいのである。」

張子和曰く
「思案が過度となると、不眠症や逆に嗜眠症の原因となる。」

巣元方曰く
「腰病になると、疲れやすく、眠たがる。
胆病になると、いらだって不眠症となる。」

王叔和は『脈経』でこう言っている。
「水の流れが夜になるとはやくなり、
流れる音が聞こえるようになるのは、土の気が休むためである。
人間もまたこれに対応しており、夜になって眠れば、脾蔵は働きを休止する。
それで脈ははやくなるのである。」

脾蔵の症候は眼瞼に反映する。
眼瞼の動きが正常であれば、脾の消化作用が正常であることがわかる。
脾が病むと、眼瞼の動きは滑らかでなくなり、
嗜眠症となる。

「経穴彙解」足少陰腎経図
「経穴彙解」を模写しながら勉強しました。

 

つづく


《参考文献》
『現代語訳奇経八脈考』  李時珍 著
『現代語訳・黄帝内経素問』  東洋学術出版
『現代語訳・黄帝内経霊枢』  東洋学術出版

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