富士山



こんにちは、為沢です。

こちらに見えますのは
東海道新幹線から見える富士山の眺望です。
往診のため東京行きの新幹線に乗車するのですが、
行きの新幹線では ほとんど眠っているので
いつも富士山はスルーしがちでした。
先日は天候に恵まれていたため、
富士山が見える時間に起き数枚撮影しました。

その内の一枚を御紹介。
息抜きになればと思います。


では、今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(中)六十八章と六十九章。
六十八章では、虚となった人に誤って発汗法を行った場合の証治について 。
六十九章では、 発汗法・攻下法を行った後、
煩燥となる場合の証治について詳しく述べております。


弁太陽病脈証并治(中)六十八章

發汗、病不解、反惡寒者、虚故也。芍藥甘草附子湯主之。方三十一。
芍藥  甘草各三兩、炙 附子一枚、炮、去皮、破八片
右三味、以水五升、煮取一升五合、去滓、分溫三服、疑非仲景方。

和訓:
発汗し、病解せず、反って惡寒するものは、虚するが故なり。
芍薬甘草附子湯之を主る。方三十一。
芍薬  甘草各三両、炙る 附子一枚、炮る、皮を去る、八片に破る
右三味、水五升を以て、煮て一升五合を取り、滓を去り、分かち温め三服す。
疑うらくは仲景の方にあらざらん。


發汗、病不解、反惡寒者、虚故也。
発汗法を行い表を解こうとしても、表が解けないばかりか
発汗により営衛が虚になり、内では少陰の気が反って傷ついてしまう。
これは、もともと陰陽が少なく虚証タイプである者に発汗法を施したためであり
表裏どちらも虚となり、悪寒が強くなるばかりで軽くなることはない。
治療は標と本をどちらも治す目的で、
芍薬甘草附子湯を用いて助陽固本と益陰和営を行う。

芍藥甘草附子湯
方義

芍薬
芍薬

芍薬
基原:
ボタン科のシャクヤクのコルク皮を除去し
そのままあるいは湯通しして乾燥した根。
芍薬には<神農本草経>では赤白の区別がされておらず
宋の<図経本草>ではじめて
金芍薬(白芍)と木芍薬(赤芍)が分けられた。
白芍は補益に働き赤芍は通瀉に働く。
桂枝湯では白芍を用いる。

白芍は苦酸・微寒で、酸で収斂し苦涼で泄熱し、
補血斂陰・柔肝止痛・平肝の効能を持ち諸痛に対する良薬である。
ここでは白芍を用いる。
白芍は血虚の面色無華・頭暈目眩・月経不調・痛経などには補血調経し、
肝鬱不舒による肝失柔和の胸脇疼痛・四肢拘孿および肝脾不和による
腹中孿急作痛・瀉痢腹痛には柔肝止痛し、
肝陰不足・肝陽偏亢による頭暈目眩・肢体麻木には斂陰平肝し、
営陰不固の虚汗不止には斂陰止汗する。利小便・通血痺にも働く。

甘草
甘草

甘草
基原:
マメ科のウラルカンゾウ、
またはその他同属植物の根およびストロン。
甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、
甘緩で緩急に働き、補中益気・潤肺祛痰・止咳・
清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。
そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。
また、薬性を調和し百毒を解すので、
熱薬と用いると熱性を緩め寒薬と用いると
寒性を緩めるなど薬性を緩和し薬味を矯正することができる。
ここでは甘緩和中と諸薬の調和に働く。

附子
附子

附子
基原:
キンポウゲ科のカラトリカブト、
その他の同属植物の子根。
加工・炮製して利用することが多い。
附子は辛熱壮烈であり、「走きて守らず」で十二経を通じ、
下焦の元陽(命火)を峻補して裏の寒湿を除き、
皮毛に外達して表の風寒を散じる。
それゆえに亡陽欲脱の身冷肢冷・
大汗淋漓・吐利不止・脈微欲脱てんなどには
回陽救逆し、腎陽不足の陽痿滑精・腰膝冷弱には補火壮陽し、
脾腎陽虚・陰寒内盛の心腹冷痛・吐瀉転筋には温裏散寒し、
陽虚不化水湿の身面浮腫・腰以下種甚には助陽行水して冷湿を除き、
風寒湿痺の疼痛麻木には祛風散寒止痛し、
陽気不足の外感風寒で悪寒発熱・脈沈を呈するときは助陽発表する。
このほか、補益薬と用いると
一切の内傷不足・陽気衰弱に使用できる。

芍藥甘草附子湯について
柔肝の基本方財である芍薬甘草湯に附子を加味した方財である。
柔肝とは、肝の陰血を補充することにより肝気を抑制して柔和にし、
正常に疏泄が行えるようにすることである。
酸・微寒の白芍と甘・微温の炙甘草は、酸甘化陰により肝・脾の陰を補充する。
白芍は肝血を補い肝陰を収斂し、柔肝・平肝・緩急止痙する。
炙甘草は益脾生津し、緩急止痛・止痙する。
両薬を配合することにより、滋陰平肝・緩急止痛・止痙の効果がつよまり
肝の陰血を滋補して肝気をしずめ、脾の気陰を補って肝気の侵害を受けないよう
防止することができる。(これが「抑木培土」である)。
発汗過多で衛陽が損傷し、営陰も損傷するため四肢のひきつりも発生する。
附子で衛陽を補い、先に述べた芍薬甘草湯で営陰を補充する。

提要:
虚となった人に誤って発汗法を行った場合の証治について

訳:
発汗したが、病はよくならず、かえって悪寒が出現するなら、
これは正虚の状態になったからで、芍薬甘草附子湯で治療する。処方を記載。第三十一法。
芍薬  甘草半各三両、炙る 附子一個、炮じる、皮を除く、八片に割る
右の三味を、五升の水で、一升五合になるまで煮て、滓を除き、三回に分けて温服する。


六十九章

發汗若下之、病仍不解、煩燥者、茯苓四逆湯主之。方三十二。
茯苓
四両 人参一両 附子一枚、生用、去皮、破八片甘草二両、炙 乾薑一両半
右五味、以水五升、煮取三升、去滓、温服七合、日二服。

和訓:
発汗し、若しくは之を下し、
病仍解せず、煩燥するものは、茯苓四逆湯之を主る。方三十二。
茯苓四両 人参一両 附子各一枚、生で用う、皮を去る、八片に破る
甘草二両、炙る 乾薑三一両半
右五味、水五升を以て、煮て三升を取り、
滓を去り、七合を温服し、日に二服す。


發汗若下之、病仍不解、煩燥者
少陰(心・腎)が本来虚である者が太陽の表証を患った場合、
表裏を同時に治療しなければならないが、
発汗させたり、誤って下法を行ったりすると、
発汗により心陽が傷つき、下法により腎陰が傷ついたりする。
陰が虚して陽が頼るところを失えば煩となり、
陽が虚して陰が化する所を失えば燥となる。
茯苓四逆湯の一方を回陽益陰の目的で用いる。
これにより虚を補って危機を救うのである。
茯苓四逆湯
方義
茯苓
茯苓

茯苓
基原:
サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。
茯苓は甘淡・平で、甘で補い淡で滲湿し、
補脾益心するとともに利水滲湿に働き、
脾虚湿困による痰飲水湿・食少泄瀉および
水湿内停の小便不利・水腫脹満に必須の品であり、
心脾に入って生化の機を助け寧心安神の効能をもつので、
心神失養の驚悸失眠・健忘にも有効である。
茯苓の特徴は「性質平和、補して峻ならず、利して猛ならず、
よく輔正し、また祛邪す。脾虚湿盛、必ず欠くべからず」といわれるが、
性質が緩やかであるところから補助薬として用いることが多い。

 

人参
人参

人参

基原:
ウコギ科のオタネニンジンの根。
加工調整法の違いにより
種々の異なった生薬名を有する。人参は甘・微苦・微温で中和の性を稟け、
脾肺の気を補い、生化の源である
脾気と一身の気を主る肺気の充盈することにより、
一身の気を旺盛にし、大補元気の効能をもつ。
元気が充盈すると、益血生津し安神し智恵を増すので、
生津止渇・安神益智にも働く。
それゆえ、虚労内傷に対する第一の要薬であり、
気血津液の不足すべてに使用でき、脾気虚の倦怠無力・食少吐瀉、
肺気不足の気短喘促・脈虚自汗、心神不安の失眠多夢・驚悸健忘、
津液虧耗の口乾消渇などに有効である。
また、すべての大病・久病・大吐瀉による
元気虚衰の虚極欲脱・脈微欲絶に対し、
もっとも主要な薬物である。

附子
附子

附子
基原:
キンポウゲ科のカラトリカブト、その他の同属植物の子根。
加工・炮製して利用することが多い。
附子は辛熱壮烈であり、「走きて守らず」で十二経を通じ、
下焦の元陽(命火)を峻補して
裏の寒湿を除き、皮毛に外達して表の風寒を散じる。
それゆえに亡陽欲脱の身冷肢冷・
大汗淋漓・吐利不止・脈微欲脱てんなどには
回陽救逆し、腎陽不足の陽痿滑精・腰膝冷弱には補火壮陽し、
脾腎陽虚・陰寒内盛の心腹冷痛・吐瀉転筋には温裏散寒し、
陽虚不化水湿の身面浮腫・腰以下種甚には助陽行水して冷湿を除き、
風寒湿痺の疼痛麻木には
祛風散寒止痛し、陽気不足の外感風寒で
悪寒発熱・脈沈を呈するときは助陽発表する。
このほか、補益薬と用いると
一切の内傷不足・陽気衰弱に使用できる。

甘草
甘草

甘草
基原:マメ科のウラルカンゾウ、
またはその他同属植物の根およびストロン。
甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、
甘緩で緩急に働き、補中益気・潤肺祛痰・止咳・
清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。
そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。
また、薬性を調和し百毒を解すので、
熱薬と用いると熱性を緩め
寒薬と用いると寒性を緩めるなど
薬性を緩和し薬味を矯正することができる。

乾薑
乾薑

乾薑
基原:
ショウガ科のショウガの根茎を乾燥したもの。
古くは皮を去り水でさらした後に晒乾した。
乾姜は生姜を乾燥させてもので辛散の性質が弱まって
辛熱燥烈の性質が増強され、無毒であり、
温中散寒の主薬であるとともに、
回陽通脈・燥湿消痰の効能をもつ。
陰寒内盛・陽衰欲脱の肢冷脈微、
脾胃虚寒の食少不運・脘腹冷痛・吐瀉冷痢、
肺寒痰飲の喘咳、風寒湿痺の肢節冷痛などに適し、
乾姜は主に脾胃に入り温中寒散する。

茯苓四逆湯について
茯苓、人参、附子、甘草、乾薑の五味で構成される薬味だが、
乾薑と生附子は六十一章の乾薑附子湯と同じで、経脈を温め陽気を回復させる。
茯苓には、陰気を益して精神を安定させる安魂養神の働きがある。
甘草は諸薬を調和させるとともに、脾胃を補い気血生成の源の強化をはかる。
これらの諸薬の働きによって、陰陽をともに補益し煩燥を止める。

提要:
発汗法・攻下法を行った後、煩燥となる場合の証治について

訳:
発汗法、或いは攻下法で治療したにも関わらず、まだ病が癒えないばかりか、
煩燥までおこるなら、茯苓四逆湯で治療せねばならない。処方を記載。第三十二法。
茯苓四両 人参三両、皮を除く 附子各一個、生で用いる、皮を除く、八片に割る 甘草二両、炙る 乾薑一両半
右の五味を、五升の水で、三升まで煮て、滓を除き、七合を温服し、一日二回服用する。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

為沢

2 コメント

  1. こんにちは。
    富士山の写真、見事に撮れましたね。
    私も何度も往復してきた景色ですが、富士山の眺望は大好きで
    何度見ても飽きないです。
    新幹線に乗車する時は富士山側の窓にへばり付いてるアホな大人で、
    寝過ごして見逃した時はとても損した気分で、少しショックをうけます。(笑

    • こんにちは、tatsukyonさん。

      富士山の写真ですが、撮っていると新幹線の速度で
      手前に写る電柱や木が何枚も斜めに映り込んだため苦労しました。

      tatsukyonさんも東海道新幹線に乗車することが多いのですね。
      見逃した時もショックですが、
      天気が良いのに富士山に雲がスッポリ覆い被さって見えない時もかなりショックですよ(笑)
      良い写真が撮れたら また御紹介致しますね。
      コメント頂きありがとうございました!

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here