こんにちは。大濱です。
上巨虚(上廉)について学んでいきます。
< 下合穴について ①>
下合穴とは、六腑の脈気が集まり、合流する
下肢の陽経の経穴である。
胃は足三里に、膀胱は委中に、
胆は陽陵泉に,大腸は上巨虚に、
小腸は下巨虚に、三焦は委陽に
それぞれその脈気が集まり合流するため
「下合穴」と呼ばれる。
下合穴については、
『霊枢』四時気篇に
「邪が腑にあれば合穴に取る」
『素問』咳論に
「臓を治す者はその兪で治し,腑を治す者はその合で治す」
『霊枢」邪気臓腑病形篇では
「榮輸は外経を治し、合は内腑を治す」
と記され、榮穴と輸は体の遠端にあり、
経気が浅表にあるので、臓腑の外経脈および所属器官の病証を治すのに適しているに対し、
合穴は穴や輸穴より体幹に近く、経気が盛んで臓腑に深く入るので、臓の病証を治すのに適している。
< 下合穴について ②>
上廉は下合穴の一つです。
『霊枢』では、六腑に関わる経絡は手足に行っているのですけれども。
手の方に行っている経絡は、足に降ろして治す傾向にあります。
「腑は、流して蔵せず、臓は、蔵してせず」
と言います。
何故かと言うと、臓にはそれぞれ五神の魂があって、それが逃れると生命が危ういのです。
したがって、「蔵して瀉せず」というのは、臓なのです。
腑の方は、いわゆる飲み食いしたものを消化吸収して、要らないものを外に出す。
基本的に残査を排出する働きですから、
したがって「瀉して蔵せず」です。
手の方に行っている腑の経絡には手の陽明大腸経とか、手の少陽三焦経とか、手の太陽小経があります。
これは手の方で取っても効くのだけれども、『霊枢』邪氣蔵府病形の考え方では、下合穴を使って治します。
とりあえず、六腑の中で、手の方を流れている経絡は下の方をもって治す、これは大体『霊枢』の考え方なのです。
< 臨床応用 >
上廉 温 胃津
脾は胃のために津液を行らす。
胃の津液が行らなければ、中焦が満ちて脹悶し、
水湿は内に停まり、大便稀く、下肢腫脹する。
上廉は、足の陽明の穴、大腸の下合穴で、
脾を理し胃を和し、腸を通じ滞を化し
脾の運化を恢復させて、胃中の津液を温化させる。
通腑法
便を下することによって、
熱邪、湿痰の邪などを降ろす場合に使う、
通腑法というのがあります。
六腑の通じを良くするという意味で、
直接的には瀉下の法です。
但し、虚証の者にこれをやりますと、
しんどくなります。
一種の気虚を起こすので、当然、実のものにしか使えない。
腸癰
急性腹証の一つである虫垂炎、盲腸炎を
東洋医学では腸癰と言いますが、
腸癰による酸痛に対して効果を上げます。
温熱型:
舌が紅くて痛みもかなり激しくて、
治るものはスッと治ります。
陽であり熱であり、動。動くからです。
寒湿型:
舌が白っぽくて、脈も比較的落ち着いていて、
時間はかかるけれども、悪化して
腹膜炎などを起こしたりすることはほとんどない。
この場合は、上廉は瀉法が中心だと言いましたけれども、
どちらかというと、少し温めて、
寒湿ですから、少し平補平瀉という形です。
一番怖いのが熱。
熱化してしまうとどんどん悪化する場合がありますから、場合によっては危険です。
その判断は脈診と舌診でできます。
《参考文献》
『臨床経穴学』 著:李世珍
『経穴解説』 著:藤本蓮風
『中医臨床』 2015年9月号
『穴性学ハンドブック』 著:佐藤弘 伴尚志
『図解・十四経発揮』 本間 祥白 著
『現代語訳・黄帝内経素問』 東洋学術出版
『現代語訳・黄帝内経霊枢』 東洋学術出版