大濱です。
足陽明胃経の上巨虚(上廉)について調べていきます。

上巨虚は大腸の下合穴(大腸の気が合入する)である。

六脈は伝化の腑であり、
特徴は「瀉して蔵せず」であり
通降下行を順としており、
「滞」「閉塞」「上逆」を病としている。
胃には通降消導の作用があり、腸には通暢去濁の作用がある。
胃、腸の病は、実証である場合が多い。
胃腸の虚中挟実証は実証の則から治療する場合が多い。
胃腸の虚証は脾虚と関係する場合が多い。

また衝脈の気の失調による上逆、陽明の気が並んで上行して生じる病も実証である場合が多い。
「邪が去り正気は自ずと安じる」
これにより通腸化滞,和胃暢中がはかられるのである。
補を施すと「滞」が生じやすく気機の通暢に影響しやすい。
ただし真性の虚証を治療する際は,絶対に補法を用いてはならないということではない。
胃、腸の病は、実証である場合が多い。

 

< 治療範囲 >
1.胃腸病証
胃病を治し、大腸肺病を治すことができる。
胃病が腸に影響した病症、腸病が胃に影響した病症、胃腸同病などの病証に。
また傷寒病の陽明脈証、温病の気分証のうち熱結腸道証も本穴の治療範囲に入る。

2.衝脈病
衝脈は胞中よりおこり、前をめぐる脈は会陰に出て陰器を経過し、気街に出る。
そこから足陽明胃経に沿って足少陰腎経二脈聞を上行し胸中に散布する。
さらにを循り口唇を絡いその輸下するものは足陽明胃経の上下廉に出る。
衝脈の気が失調して上逆し陽明の気と平行して上行すると
嘔吐、気逆、裏急がおこる。
和胃降逆の作用により治療することができる。

3.気滞により湿が停り腹脹腹鳴するもの
脾ら胃のために津液を行らす。
胃に津液行らなければ、
中焦が満ち脹悶し水湿は内に停り
大便稀く下肢腫脹する。
上廉は、脾を理し胃を和し、腸を通じて滞を化し、
脾の運化を恢復させて胃中の津液を温化させる

 

<古典>
『霊枢』邪気臓腑病形篇では、
「大腸は巨虚上廉に合して入る」
と述べている。
大腸と上巨虚との連絡関係を述べたものである。

『霊枢』本輸篇では、
「六腑は皆、足三陽に出で、上って手に合する者なり」
と述べている。
これは六腑が腹部にあり、足三陽経と密接な関係にあるためであり、
六腑の下合穴は足三陽経上に所在する。

『霊枢』邪気臓腑病形篇では、
「榮兪は外経を治し、合は内腑を治す、
…胃は足三里に合し、大腸は巨虚上廉に合し、
小腸は巨虚下廉に合して入る」
とあり、六腑が足陽明胃経に属していることが強調されている。

『霊枢』本輸篇に
「大腸,小腸皆胃に属す」
とあるように、胃と大腸には機能上、上下相承の作用がある。
大腸の下合穴である上巨虚は、
手陽明大腸経の合穴である曲池に代わって大腸腑病を主治する。

例えば『霊枢』邪気臓脈病形篇では、
「大腸の病は,腸中切痛して鳴ること濯濯たり、
冬日重ねて寒に感ずれば即ち泄す、臍に当って痛み、久しく立つこと能わず、
胃と候を同じくす、巨虚上廉に取るべし」
と述べている。

また『針灸甲乙経』では、
「大腸に熱あるは、腸鳴腹満し、臍を挟んで痛み、
食化さず、喘して久しく立つこと能わず、巨虚上廉これを主る」
と述べ、また
「殖泄し、大腸痛むは、巨虚上廉これを主る」
と述べている。

 

『経穴纂要』を勉強しながら模写しました。

つづく

 


《参考文献》
『臨床経穴学』 著:李世珍
『穴性学ハンドブック』 著:佐藤弘 伴尚志
『図解・十四経発揮』 本間 祥白 著
『現代語訳・黄帝内経素問』  東洋学術出版
『現代語訳・黄帝内経霊枢』  東洋学術出版
『経穴彙解』 著:原南陽編

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