大濱です。
曲池の穴性について学んでいきます。
今回は臨床に応用できれば良いとな思う
内容を書籍から挙げていきます。
例に記載した経穴はあくまでも書籍によるもので、
臨床で用いるかは体の状態により判断するものと考えます。
〈 痺症 〉
曲池は、弁証取穴で用いると全身の関節、肌肉痩証を治す。
1.風寒湿痺
去風散寒・除湿通絡の作用がある。
①数カ所の関節の風湿偏盛
例:曲池、陰陵泉 など
去風除湿・散寒通絡
②数カ所の関節の風寒湿盛
例:曲池、陰陵泉 など
去風散寒除湿
③歴節風で熱盛型の者
例:曲池、内庭 など
去風清熱、通絡散邪
2.熱痺
関節腫痛、紅腫熱痛、または灼熱腫痛があり、冷やすと軽減する、患部は痛くて触知できない。
屈伸不利、運動制限がある。
脘悶。食欲不振。小便黄。便秘または溏薄。
口渇または渇くが飲みたがらない。
舌苔は白膩または黄膩、または黄燥、脈象は濡数または滑数。
悪寒、発熱、口渇などの症状をともなう。
①関節部の紅腫熱痛、屈伸不利
湿熱が関節に留滞して経絡に阻滞し、
そのため気血の流れが悪くなっておこる。
②脘悶、食欲不振
湿熱が中焦に影響するとおこる。
③小便黄
湿熱が下注しておこる。
④舌苔・脈象
湿熱の象である。
⑤悪寒・発熱口渇
病状が重かったり表証をともなう場合に現れる。
処方例
弁証取穴:曲池、陰陵泉…湿熱の清利
①胃腸症状の著明な場合
足三里……和胃調中
②熱が湿より盛んな場合
内庭を加える
③血分症状をともなう場合
三陰交を加える…活血通絡
④胃熱症状の著明な場合
内庭を加える…胃火の清降
⑤小便黄赤・すっきり出ない場合
中極を加える…小便の清利
『金匱要略』痙・湿・喝病の脈証篇
「病者一身尽く疼み、発熱し、日晡所激しき者は、風湿と名づく。
この病は汗出でて風に当たるに傷られ、
あるいは久しく冷を取るに傷られて致す所なり。
麻黄杏仁薏苡甘草湯を与うべし。」
と述べている。
「一身尽く疼むは」風湿が表にある象である。
「発熱,日晡所激しきは」陽明に属し、風湿の勢が化熱しようとしている象である。
「この病は汗出でて風に当たるに傷られる」
とは、風邪を感受し着して痺となったものである。
「久しく冷を取るに傷られる」
とは、長時間にわたって涼をむさぼったりして寒冷をうけておこるものである。
針灸治療では、曲池、陰陵泉により
去風除湿、散邪通絡をはかるとよい。
『金匱要略』痰飲・咳嗽病脈証篇
「飲水流れ行き、四肢に帰し、当に汗出づべくして汗出でず、身体疼重す、これを溢飲という。」
と述べている。
飲邪がしだいに肢体や肌表に侵襲し、
外邪を感受して毛殺が閉塞すると汗が出なくなり、そのために身体疼重がおこる。
この場合には、曲池、陰陵泉、列欠により解表宣肺化飲をはかるとよい。
または曲池、陰陵泉、大稚により温陽解表、行湿化飲をはかるとよい。
つづく
《参考文献》
『臨床経穴学』 著:李世珍
『金匱要略解説』 著:何任
『穴性学ハンドブック』 著:佐藤弘 伴尚志
『図解・十四経発揮』 著:本間祥白