大濱です。
行間の穴性について学んでいきます。

<要穴>
足厥陰肝経  榮火穴 (溜まるところ)

肝は木に属しており、行聞は五行では火に属しているため、本穴は足厥陰肝経の子穴となる。
実証の病の治療では本穴を潟すとよし。

『霊枢』寿夭剛柔篇
「病、陰の陰に在る者は、陰の榮輸を刺す」
とある。

行間は、肝の臓病、経病、気化病
肝と関係のある臓腑器官の疾病を治療することができる。
主として肝実証の治療に用いる。

肝病は実証である場合が多い。
とくに欝結、陽亢、肝火、肝風による証候が多くみられるが、これらに対しては足厥陰肝経の子穴である本穴を瀉すとよい。

 

<治療範囲>
肝火、肝気、肝陽病証
肝は,風木の臓であり「体陰にして用陽」といわれている。
「昇」「動」を主っており、その性は「剛強」である。
「条達」を喜び「疏泄」を主り抑鬱を嫌うという特徴がある。
肝は欝結、亢盛、化火、生風となりやすい。

① 鬱や怒によって肝を損傷し、気機が阻滞している場合

② 肝陽妄動して風陽が上擾している場合

③ 気欝化火となり、肝火が上炎している場合

④ 肝陽が急激に充進し、血が気に随って上昇している場合

⑤ 気欝化火となり、火が血絡を損傷している場合

①〜⑤の肝実病証、肝胆鬱熱、肝胆湿熱、肝乗脾土、肝火犯胃、木火刑金などの病証の治療では、すべて足厭陰肝経の子穴である本穴を潟して、その「本」を治すとよい。

腎陰が不足して精が血に化すことができず、そのために血が肝を養うことができなくなると、肝陰不足、肝陽偏充という病証になる。
この場合も、本穴を配して「肝腎同治」をはかるとよい。
また傷寒病の厥陰証、温病中の気分証候、営分証候に現れる熱極生風、肝風内動も、本穴の治療範囲に入る。

 

〈 行間と太衝の効能比較 〉

この2穴はともに肝を治療する際の要穴であるが、それぞれに次のような特徴がある。

〔 行間 〕
肝気欝結、肝火上炎、肝陽上充などの肝実証の治療に効果がある。
潟法を用いる場合が多く灸法は用いない。
瘀を祛り絡を通じ、火郁を泄らし血脉を通ずる。
肝火を泄らし、血熱を清め、肝風を熄める。

〔 太衝 〕
行聞の主治する肝実証にも効果があり,またそのほかに寒滞肝脈と肝の虚証(肝血不足など)にも効果がある。
潟法も補法も用いる。また灸も可。
行間より治療範囲が広い。
肝熱を清め泄らし瘀を祛り絡を通ずる。
肝を清め、肝風を熄め、下焦を疏し、湿熱を去る。

 

〈 『針灸穴名解』から 〉
「行」とは、足の作用である。
「動いて進む」
気は行を得て通じ、滞は行を得て解ける。
鬱気をして通行せしめる。

「間」とは、病が癒えて病間
(中国語では病が良くなることをいう)を為し、
病が通行を得て治癒を告げる。

気が行を得て、病が間(癒える)を得るというが如くである。
故に「行間」というわけである。

 

< 臨床応用 >
清熱作用・頭目の疾患

肝気が上って頭痛が起こり、脳梗塞や脳出血を起こす場合の予防。
左右の熱感が違います。
熱よりも気の停滞が勝った場合は、感覚として冷えを感じます。
脾気が弱って目眩がするものを、
肝から怒った肝風と間違えて行間を刺すと失神する。

 

 


《参考文献》
『臨床経穴学』 著:李世珍
『穴性学ハンドブック』 著:佐藤弘 伴尚志
『図解・十四経発揮』 本間 祥白 著
『臓腑経絡学』 著:藤本蓮風
『経穴解説』 著:藤本蓮風
『ほくと』 3号 「針灸穴名解シリーズ1」

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