五味の記事を書いていっていましたが、一旦気分転換に別のテーマを挟みます。

今回は「遠志」について書いていき、その働きから臓腑の関係を書いていきます。

「中医臨床のための中薬学」 P469

遠志

[性味]苦・辛・温

[帰経]心・腎・肺

臨床使用の要点

遠志は辛散・苦泄・温通し、助心陽・益心気さらに腎気を上交させて交通心腎に働き、安神益智の効能をもつと同時に痰濁を除き開竅するので、心神不寧の驚悸失眠や痰阻心迷の迷惑健忘に有効である。また、散鬱化痰にも働き、肺の寒邪痰飲による欬嗽に効果があり、寒凝気滞・痰湿入絡による癰疽腫毒にも内服・外用すると消腫止痛の効果が得られる。

 

以前、心脾気血両虚の方剤である帰脾湯について調べていた時に遠志について調べていました。

その時に「遠志が心神に働くのはわかるけど、心脾の問題なのに何故に志(腎)を持ち出して来るんだろう」という疑問が出ました。

適応に健忘とあるが、認知機能に良いとされる遠志は名前の通り「志(腎)」に働く生薬。

「中医臨床のための方剤学」 P263、264

「心血が暗耗し心神が濡養されなくなって、驚きやすくて動悸がする(驚悸)・持続性の動悸(怔忡)・健忘・不眠など心神不寧の症候があらわれる」

「帰脾湯 遠志は心腎を交通させて定志寧心に働き…」

最初はよく分からずに心の問題と片付けていましたが、どうにも意(脾)について調べていくとこれも関わっている気がして仕方ない。

遠志は帰脾湯において意(脾)は関わらないのか。

来週に続きます。

 

参考資料

中医臨床のための方剤学 東洋学術出版社 神戸中医学研究会編著

中医臨床のための中薬学 東洋学術出版社 神戸中医学研究会編著

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