父がトラで母がライオンの「タイゴン」、中国の動物園で成長
父がトラで母がライオンの「タイゴン」中国の動物園で成長  /『ロイター』

どうも、為沢です。
先日「父がトラで母がライオンの”タイゴン”、
中国の動物園で成長」というニュースを拝見致しました。
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE82604J20120307
父がトラで母がライオン???
そんなことがあるんですね。初めて知りました。
父がライオンで母がトラの場合は「ライガー」というそうですよ。
タイゴンは野生では存在せず、
全て人工飼育により生まれるそうで雄には生殖能力がないのだとか…。
人間のエゴというのでしょうかね。
自然界では生態系の破壊など叫ばれている中、
このような不自然な配合が必要なんやろか?
と考えさせる記事でした。


では、今回の傷寒論は
弁太陽病脈証并治(中)六十四章・六十五章。
六十四章では、発汗をさせ過ぎたために、
心陽を傷つけた場合の証治について。
六十五章では、発汗法を行った後、
奔豚を起こす前兆がある場合の証治について述べております。


弁太陽病脈証并治(中)六十四章

發汗過多、其人叉手自冒心、心下悸、欲得按者、
桂枝甘草湯主之。方二十七。
桂枝四両、去節 甘草二両、炙
右二味、以水三升、煮取一升、去滓、頓服。

和訓:
発汗過多、其の人手を叉えて自ら心を冒い、
心下悸し、按ずるを得んと欲するものは、
桂枝甘草湯之を主る。方二十七。
桂枝四両、節を去る 甘草二両、炙る
右二味、水三斗を以て、煮て一升を取り、滓を去り、頓服す。


發汗過多、其人叉手自冒心、心下悸、欲得按者
「叉手自冒心」とは両手を組み合わせて胸を覆い、
心窩の動悸を押さえようとする動作。
「欲得按」という動作は、上焦の虚によって下焦を制することができなくなり
下焦の水寒が逆となった兆候を未然に防ごうとする動作なのである。

桂枝甘草湯
方義

桂枝
桂枝

桂枝
基原:
クスノキ科のケイの若枝または樹皮。

桂枝は辛甘・温で、
主として肺・心・膀胱経に入り、
兼ねて脾・肝・腎の諸経に入り、
辛散温通して気血を振奮し営衛を透達し、
外は表を行って肌腠の風寒を緩散し、
四肢に横走して経脈の寒滞を温通し、
散寒止痛・活血通経に働くので、
風寒表証、風湿痺痛・中焦虚寒の腹痛・
血寒経閉などに対する常用薬である。
発汗力は緩和であるから、
風寒表証では、有汗・無汗問わず応用でき、
とくに体虚感冒・上肢肩臂疼痛・
体虚新感の風寒痺痛などにもっとも適している。
このほか、水湿は陰邪で陽気を得て
はじめて化し、通陽化気の桂枝は
化湿利水を強めるので、
利水化湿薬に配合して痰飲・畜水などに用いる。

甘草
甘草

甘草
基原:マメ科のウラルカンゾウ、
またはその他同属植物の根およびストロン。
甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、
甘緩で緩急に働き、補中益気・潤肺祛痰・止咳・
清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。
そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。
また、薬性を調和し百毒を解すので、
熱薬と用いると熱性を緩め
寒薬と用いると寒性を緩めるなど
薬性を緩和し薬味を矯正することができる。

桂枝甘草湯について
桂枝と炙甘草の二味からなる簡明な処方で、
辛温の桂枝で心陽を補い、甘温の炙甘草で心の津液を滋養する。
無駄がなく、薬力を心の陰陽を補うことに集中した処方で、
心陽を補うための基本処方になっている。

提要:
発汗をさせ過ぎたために、心陽を傷つけた場合の証治について

訳:
発汗し過ぎた後、患者が両手を交叉して自分が動悸を感じる処に押し当てているのは、
手で胸を押さえると動悸がおさまると感ずるからで、これは桂枝甘草湯で治療する。
処方を記載。第二十七法。
桂枝四両、皮を除く 甘草二両、炙る
右の二味を、三升の水で、一升になるまで煮て、滓を除き、頓服する。


六十五章

發汗後、其人臍下悸者、欲作奔豚、
茯苓桂枝甘草大棗湯主之。方二十八。
茯苓半斤 桂枝四両、去皮 甘草二両、炙 大棗十五枚、擘
右四味、甘爛水一斗、先煮茯苓、減二升、内諸薬、煮取三升、去滓、溫服一升、日三服。
作甘爛水法、取水二斗、置大盆内、以杓揚之、水上有珠子五六千顆相逐、取用之。

和訓:
発汗して後、其の人臍下悸するものは、奔豚を作さんと欲し、
茯苓桂枝甘草大棗湯之を主る。方二十八。
茯苓半斤 桂枝四両、皮を去る 甘草二両、炙る 大棗十五枚、擘く
右四味、甘爛水一斗を以て、先ず茯苓を煮て、二升を減じ
諸薬を内れ、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服し、日に三服す。
甘爛水を作る法、水二斗を取り、大盆の内に置き、杓を以て之を揚げ、
水上に珠子五六千顆相遂うあり、取りて之を用う。


發汗後、其人臍下悸者、欲作奔豚
「臍下悸」とは臍下の部位に
跳動する様な感じを自覚すること。
「奔豚」とは発作が起こると
胸腹部に生じた気が腹部から上に向かって突きあげ、
あたかも豚が駆け抜けるような感覚を覚える病証のことである。

茯苓桂枝甘草大棗湯
方義

茯苓
茯苓

茯苓
基原:サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。
茯苓は甘淡・平で、甘で補い淡で滲湿し、
補脾益心するとともに利水滲湿に働き、
脾虚湿困による痰飲水湿・食少泄瀉および
水湿内停の小便不利・水腫脹満に必須の品であり、
心脾に入って生化の機を助け寧心安神の効能をもつので、
心神失養の驚悸失眠・健忘にも有効である。
茯苓の特徴は「性質平和、補して峻ならず、利して猛ならず、
よく輔正し、また祛邪す。脾 虚湿盛、必ず欠くべからず」といわれるが、
性質が緩やかであるところから補助薬として用いることが多い。

 

桂枝
桂枝

桂枝
基原:
クスノキ科のケイの若枝または樹皮。
桂枝は辛甘・温で、主として肺・心・膀胱経に入り、
兼ねて脾・肝・腎の諸経に入り、
辛散温通して気血を振奮し営衛を透達し、
外は表を行って肌腠の風寒を緩散し、
四肢に横走して経脈の寒滞を温通し、
散寒止痛・活血通経に働くので、
風寒表証、風湿痺痛・中焦虚寒の腹痛・
血寒経閉などに対する常用薬である。
発汗力は緩和であるから、
風寒表証では、有汗・無汗問わず応用でき、
とくに体虚感冒・上肢肩臂疼痛・
体虚新感の風寒痺痛などにもっとも適している。
このほか、水湿は陰邪で陽気を得て
はじめて化し、通陽化気の桂枝は
化湿利水を強めるので、
利水化湿薬に配合して痰飲・畜水などに用いる。

甘草
甘草

甘草
基原:
マメ科のウラルカンゾウ、
またはその他同属植物の根およびストロン。
甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、
甘緩で緩急に働き、補中益気・潤肺祛痰・止咳・
清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。
そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。
また、薬性を調和し百毒を解すので、
熱薬と用いると熱性を緩め
寒薬と用いると寒性を緩めるなど
薬性を緩和し薬味を矯正することができる。

大棗
大棗

大棗
基原:
クロウメモドキ科のナツメ。
またはその品種の果実。
甘温で柔であり、補脾和胃養営安神に働くので、
脾胃虚弱の食少便溏や営血不足の臓燥など心神不寧に使用する。
また薬性緩和にも働き、
峻烈薬と同用して薬力を緩和にし、脾胃損傷を防止する。
ここでは、脾胃を補うとともに
芍薬と協同して筋肉の緊張を緩和していく。
また、生薑との配合が多く、
生薑は大棗によって刺激性が緩和され、
大棗は生薑によって気壅致脹の弊害がなくなり、
食欲を増加し消化を助け、
大棗が営血を益して発汗による
傷労を防止し、営衛を調和することができる。

茯苓桂枝甘草大棗湯について
大量の茯苓を用いて水飲の邪を攻めて津液を巡らし、
さらに茯苓には心神を養って精神を安定させる作用がある。
桂枝と炙甘草は心陽の虚を補う。大棗は脾胃を補いその働きを強化する。

提要:
発汗法を行った後、奔豚を起こす前兆がある場合の証治について

訳:
発汗した後、患者は臍下の部位に跳動を感ずるなら、
これは奔豚病がおころうとしている徴候で、
茯苓桂枝甘草大棗湯で治療する。処方を記載。第二十八法。
茯苓半斤 桂枝四両、皮を除く 甘草二両、炙る 大棗十五個、裂く
右の四味は、一斗の甘爛水で、先に茯苓を、水が二升減るまで煮て、その後に残りの諸薬を入れ、
三升になるまでさらに煮て、滓を除き、一升を温服し、一日三回服用する。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

為沢

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