大濱です。
前回に引き続き、「三陰交」の穴性について学んでいきます。
<病態生理>
② 血証
脾不統血,肝不蔵血,肝血虚損,精血虚損などによる病証。
本穴には、統血、涼血、全身の血分の虚損を補益する
全身の血液の運行を良くするなどの作用がある。
各種の原因によりおこる血虚,血筋,血熱などの病証を治療する場合に
本穴を用いることができる。
血は水穀の精微を源とし、脾で生化され、心により統括され、肝に貯蔵される。
その後、肺に宣布され、腎に泄し、
脈に注いで脈道より全身を巡り、全身に栄養を供給している。
視覚、聴覚、手足の運動、筋骨肌肉の屈伸、皮膚の潤い・光沢、五感、五臓六腑の協調、
これらは全て血液が栄養を供給することにより実現される。
血は生命活動の源泉であるといえる。
血液は消耗・不足しやすく、虚損となりやすい。
陰虚すれば肝旺んになる。
肝は血を蔵し、脾は血を統べる。
三陰交は即ち肝腎脾 三陰経の交会穴であり、
腎陰を滋して肝熱を平げ、脾の運化を健全にして
気滞を通じさせるので血熱を清めることができる。
また下焦を疏し、血室や精宮を調える。
③ 化湿・行湿
肝は疏泄を主り、脾は運化を主る。腎は胃関であり、二便を司る。
疏泄がのびやかで、納穀と運化が正常で、二便が整えば湿は祛るのである。
三陰交は、肝腎脾 三本の陰経の交会穴であり、
脾を健やかにし、湿を化し、肝を補い、腎を益し、
気血両補の効能を有し、気を化して水を行らせるので湿を祛らせるのである。
<古典>
三陰交は血証の要穴であり、 婦人の胎・産・経・帯病証の常用穴である。
気と血は、生命活動の動力であり源泉である。
気と血は臓腑機能の反映であり、また臓腑活動による産物である。
また生命活動を維持するうえでの基礎物質であり
婦人の経・胎・産・乳の基礎物質でもある。
『素問』五臓生成篇
「足は血を受けて歩くを能う、掌は血を受けて握るを能う、指は血を受けてつまむを能う」
『霊枢』本臓篇
「血和せば則ち筋脈流行し、営は陰陽に復し、筋骨は勁強,関節は清利する」
営血が人体内に及ぼす重要な作用について説明したものである。
人体の病理的な変化において、気血と関係ないものはなく
気血失調はすべての疾病に関わる普遍的な発病機序の1つである。
血証を治療する常用穴である本穴は、臨床上非常に広範に用いられている。
《参考文献》
『臨床経穴学』 著:李世珍
『穴性学ハンドブック』 著:佐藤弘 伴尚志
『図解・十四経発揮』 本間 祥白 著
『現代語訳・黄帝内経素問』 東洋学術出版
『現代語訳・黄帝内経霊枢』 東洋学術出版
『中医臨床』 第34巻 第1号 p.145 穴性論 著:李昇昊 他
『中医鍼灸 臨床発揮 』 著:李世珍