甘味について書いていきます。

今回からは甘味の持つ特性の「補」に焦点を当てていきます。

 

補とは言っても対象が気虚・陽虛・血虚・陰虚など状態によってどういった甘味の生薬を使うかが違ってきますので、今回は「補気」について書いていきます。

 

中医臨床のための中薬学 P389

「補気薬は「益気薬」ともいい、気虚を改善する薬物であり、とくに脾肺気虚に適する。」

 

脾胃学説の臨床 P204

「「甘」には甘温と甘涼の区別があるが、陽不足のものは甘温がよく、陰不足のものには甘涼が良い。別の角度から考えてみると、「脾は陰土となす」「燥を喜び潤を悪む」故に脾病を治すには、多くは甘温の性の薬物を使ってその昇を助けなければならない。」

 

中薬の配合 P142

「「甘温益気」(補中益昇陽・甘温除熱)とは、主に益気剤に使われる用薬法で、各種気虚証を治療する際に使われます。甘味薬には補気作用ありますが、ここに温薬を合わせると、甘味薬の作用を強め、治療効果を高めることができます。」

 

以上から補気をしたいシーンとは生化の大元である主な脾胃を対象とし、そこを「補」したい場合は甘温薬がチョイスされている事がわかります。

また、胃にも脾胃気虚や胃陰虚などがありますが、甘温薬が対象となるものは脾胃気虚になります。

 

具体的な生薬は人参・黄耆などよく使われる生薬がメインとなりますが、何分生薬の数が多いため紹介しきれません。

挙げた3冊の書籍に細かい記載があるのでご興味のある方はそちらをご覧ください。

 

保険適応の方剤で言えば補中益気湯・四君子湯・啓脾湯・人参養栄湯・加味帰脾湯などにこの認識が含まれます。

 

参考書籍

中薬の配合 小金井信宏訳 東洋学術出版社

脾胃学説の臨床 中医学術研究会<北医林>訳 (財)東洋医学国際研究財団

中医臨床のための中薬学 神戸中医学研究会編著 東洋学術出版社

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