東洋医学の世界をご紹介していきます。
東洋医学では、身体は「五臓」を中心とした一つの有機的な総合体として考えられています。
「五臓」とは、肝・心・脾・肺・腎をまとめた名称です。
東洋医学の「肝」は、西洋医学の「肝臓」と呼ばれる臓器の働きとは異なります。
五臓を中心に、人体を構成するものたちは、
互いに協調しながら働いていおり、
病気になっても互いに影響を及ぼし、関連しているもと考えられています。
五臓は、精(人体の活動を生み出す物質的な基礎)を貯蔵し、精神活動を担います。
「人体において一番大切で守らないといけないものは五臓です」
と昔の書物に記されています。
東洋医学の人体構造を描いたものを
「内景図」と呼び、五臓が描かれています。
肺や肝の形とてもユニークです。
五臓の他に、脳、おへそ(神闕)や膈などといったものが描かれています。
不思議なことに、骨は脊柱(背骨)しか描かれていません。
東洋医学にも人体の各部位の名称は存在しますが、
「内景図」を観察していて感じたことは、
骨や筋肉など個々のパーツよりも、
五臓を重要視していたということではないでしょうか。
教科書などで見る西洋医学の解剖図は、お腹が正面です。
よく目にする「内景図」は、
おへそや背骨を見るとわかりやすいですが、側面を向いています。
(中には正面を向いたものもあります。)
また、江戸時代には歌川国貞が描いた
「飲食養生鑑」「房事養生鑑」という錦絵では、
臓腑の働きを擬人化されて描かれています。
下野先生がブログで紹介されています。
五臓の形は「内景図」とよく似ています。
《参考文献》
『中医学ってなんだろう』 小金井信宏 著
『図説 東洋医学』 山田 光胤 · 代田 文彦 著