「太衝」の穴性について学んでいきます。


< 足厥陰経脈流注 >
” 肝足厥陰ノ脉・・・循股陰、入毛中. 過陰器、抵小腹 ”
『霊枢』経脈第十

足厥陰肝経は大腿部内側を循行し、
陰毛の中に入り、陰器を通って下腹部に達する。
経絡の関係では陰器は足厥陰肝経に属し、督脈が絡し、帯脈が束ね、
衝任脈が灌漑する。

前陰(排尿部と生殖器)は宗筋の集まるところであり、
太陰と陽明が合する所であり、陽明経が潤している。

下腹に関わるのは、女性では子宮筋腫とか卵巣嚢腫になる。
これは大部分が足厥陰肝経の変動によって小腹に瘀血が溜まるためである。
肝経で重要なのは、男女の性器を主る所にある。
その中でも重要穴は、大敦、太衝、三陰交、蠡溝、この辺りは必須である。

 

< 足厥陰経絡病症 >
” 丈夫㿉疝 婦人少腹腫 ”
㿉:陰部の病気。男性の陰嚢が腫れる病気。女性の子宮が脱する病気。
疝:下腹部が痛む病気の総称

腰痛神経痛、陰部から起こる腰痛 「疝気」「疝積」ともいう。
男性生殖器、泌尿器系のために起こる腰痛。
胆経等を通じて特に腰仙部に関して腰痛症状を起こしてくるのである。

足厥陰肝経が中心であれば、太衝、蠡溝などを用いればよい。

 

<経筋病症>
ある部分だけこむら返りが起こるのは、
部分的に経筋の血虚を起こしているだけなので、
血虚の症候はあっても気を通じさせてやればよい。
しかしどこもかしこも筋が引きつると、
太衝穴・三陰交穴・膈兪穴等を使い
肝血を補ってやらなければならない。

 

<治療範囲>
合谷穴は理気疏肝の作用があり、太衝に対して気の働きが強く、
太衝穴は疏肝理気の作用があり、合谷穴に対して血の働きが強い。


足厥陰肝経の原穴ですから、肝気実あるいは肝血虚に用います。
太衝穴は肝の一番中心となるツボですが、五臓全てが関係します。

特に肝と腎の関係は密接です。
肝気が昇ってくると水を吸い上げます。
肝を降ろして腎を高めるのであれば照海穴です。

 

つづく

掲載している経絡図は『類経図翼』を勉強しながら模写しました。

 


《参考文献》
『臨床経穴学』 著:李世珍
『臓腑経絡学』 著:藤本蓮風
『経穴解説』    著:藤本蓮風
『中医基本用語辞典』 著:高金亮

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