こんにちは、受付の栗原です。
これは消しゴムの話です。
彼は最近、一鍼堂にやってきた消しゴムです。
年月が経っているのかプラスティックのケースは
色がはげてしまっています。
3年前、鍼灸学校入学と同時に
「透明で消したい文字が透けて見えるから便利」
という謳い文句だったことから
当時、学生だった文房具好きの鍼灸師の卵に迎えられたそうです。
しかし、鍼灸学校の授業は狭い机というフィールドの中で
いかに手早く消せて、タッチが軽く、コロコロと転がらない
を必要とし、彼の得意とする
「透明で消したい文字が隠れず、よく消える」は
そこまで必要とされず、少しずつ出番が無くなっていきました。
それから3年、学生は鍼灸師となり
彼はようやく一鍼堂という場所で日の目を見ることになりました。
彼の得意とする「よく消える」は
予約台帳のフリクションペンがきれいに消せて
ノートを汚すことなく、Bの濃い鉛筆の跡を無かったことに出来る、
彼の「よく消える」はBの鉛筆の濃さも得意としていたのである。
今では「あの消しゴムはどこへいった」と
探されるほど受付では必要な存在になりました。
長くなりましたがこの消しゴムの話は
3年もの間、誰にも必要とされず
見向きもされず眠っていた
ケースの色も落ち、どこの消しゴムかさえも
分からなくなったその姿を見て、
人も物も必要とされる場所にいてこそ
その存在は輝るのだなーと
思ったことを綴ってみました。