「黄帝問曰、余聞気穴三百六十五穴、以応一歳。」
これは『素問』気穴論篇に書かれている内容で、
「経穴(当時は孔穴)が365穴ありますよ」と
いった事を表しております。
1年が365日という天文学に法ったものですが、
今私達が読める『素問』には365穴も挙げられていません。
その後に書かれた
『霊枢』や『甲乙経』、
日本の『医心方』も同様です。
更に時代が進んでも、
365穴が書かれたことはなかったのですが、
江戸期に亀山藩医であった
小阪元佑が『経穴纂要』を著し、
ここに初めて365穴が出揃ったと言われております。
今後、鍼灸師にとって大切な経穴学を
『経穴纂要』から学び、記事にしようと思いますが、
正直 真新しい発見があるかどうかはわかりません。
ただインターネットもない江戸時代に、
膨大な書物から情報を集め、整理をした
日本の考証学のレベルの高さ、
しかしこの後には、
東洋医学が廃絶される時代がやって来る
というのを頭の片隅に入れて
読んでいただけると良いかと思います。
アイキャッチ画像は
『経穴纂要 5巻』(京都大学附属図書館所蔵)です。
<参考文献・参考資料>
『経穴纂要 5巻』 京都大学附属図書館所蔵
『「内経」に記載された経穴名の研究』 佐伯路子ら4名 全日本鍼灸学会雑誌35巻3・4号
『素問考注』 学苑出版社
下野