下積み修行中の木村さんのお勉強記事です。
勉強不足で至らない内容ですが、
少しずつ学び成長して参りますのでお許し下さい。
不出来なところもあるかと思われますが、
成長とともに少しずつお返しして参りますので
どうか見守り 応援してやって下さい。
腰脊痛(腰痛・腰背痛)
腰脊痛とは、腰背部の疼痛を示します。
腰と背部は連なっており、
脊柱部や脊柱両側から痛みが生じるので、
一般に腰脊痛と称し、単に「腰痛」とも言います。
≪内経≫でも、≪脈解篇≫では「腰背痛」、
≪刺腰痛論≫では「腰痛」と記載しております。
腰痛は他の部分の疼痛をよくともない、
腰から背部にかけての疼痛は「腰背痛」、
腰から尾底骨部(尻部)にかけての疼痛は「腰尻痛」、
腰から下肢にかけての疼痛は「腰腿痛」と呼ばれます。
風寒による腰痛
<症状>
急激に発生する腰背部の強ばった痛みで、
ひきつるような感じがあり、
発熱・悪寒・無感あるいは自汗
頭痛・肩背痛、
甚しければ全身の関節が痛む
舌苔は薄白・脈が浮緊等をともないます。
<解説>
風寒が侵入して肌表を外束し、足太陽膀胱経と督脈を阻塞したことによります。
太陽膀胱経は目の内眦に起こり脳に絡し、
項下に出て脊を挟み、背部から腰を通り、
膝膕 (シッカク:膝裏)から足外側に至るので、風寒の邪が侵入すると、
軽度であれば腰背が強ばって痛み、項背がこわばり、
重度であれば腰背が抜けるように折れるように痛み膝膕や足首が裂けるように痛みます。
督脈では尾底部に起こり脊を貫き項に上り風府に入り、
全身の陽を総督します。
太陽経は三陽経の諸陽の会であり、督脈と交連します。
それ故、風寒の邪はまず太陽経と督脈を犯し、
「頭項痛み、腰脊強ばる」という症状をひきおこします。
≪傷寒論≫では「太陽病」として、
頭痛・項部の強ばり・腰痛・関節痛・身体痛と、悪寒・発熱脈が浮緊など症候をあげています。
特徴は、急性の腰背部の疼痛と強ばりとともに、
項背や下肢の疼痛・甚しければ全身の関節痛があり、
悪寒・発熱・脈浮などの表証を伴うことであります。
風寒湿痺の腰痛
<症状>
急性あるいは慢性に生じる腰痛で、
尾底骨部や下肢の疼痛をともなうことが多く、
痛みは増減し、温めると軽減し、
寒冷や曇天にあるいは秋冬に増強します。
疼痛は、鈍痛が多く、
こわばった「板をはったような」感覚をともないます。
寒邪がつよいときは、
疼痛がつよく固定性で、
甚しければ運動が困難となり、
脈は沈で有力を呈します。
湿邪がつよいときには、
疼痛は強くないが重だるい感じを伴い、
曇天や湿気の多い状況で増悪し、脈は緩を呈します。
風邪がつよいときは、遊走性の疼痛で増減します。
甚しければ下肢の筋肉が萎縮します。
≪解説≫
風寒湿の邪が侵入して太陽経脈に停滞し、
経脈の気血を渋滞させることにより発生します。
風寒の腰痛に対する治療が不適当な場合も、
慢性化して風寒湿を形成することがあります。
風寒湿痺では、
風邪が主体の風痺(行痺)、
寒邪が主体の寒痺・風寒痺(痛痺)、
湿邪が主体の湿痺・風湿痺(着痺)
がみられます。
風邪がつよいときは、疼痛が軽度で遊走性があります。
治法は祛風湿・止痛です。
寒邪がつよいときは、固定性のつよい腰痛を呈し、
緩めると一時的に軽減し、冷やすと増強し、
脈は沈弦あるいは緊であります。
治法は祛風湿・温経散寒です。
湿邪がつよいときは、腰が重だるい痛み・脈が沈緩を呈します。
≪金匱要略≫の「腎着」に相当します。
治法は祛風湿・利湿です。
風寒湿痺の腰痛が慢性化して気血不足を来たした場合は、
益腎・気血双補を配合した扶正祛邪を行うべきであります。
風寒湿痺の腰痛(腰痺)は、
≪素門・痺論≫
「風寒湿の三気雑して至り、合して痺をなすなり」
とあるように、風寒湿の邪が共同して経脈の気血を渋滞させ、
「通じざればすなわち痛む」
の状態を引きおこしたものであります。
風寒の腰痛は、≪素門・熱論≫に
「傷寒一日、巨(太)陽これを受く、ゆえに頭頂痛み腰脊強ばる」
とある状態であります。
両証の鑑別の要点は、風寒の腰痛は発症が急激で
発熱・悪寒という表証をともなうのに対し、
風寒湿痺の腰痛は発病が緩慢で表証をともなわないことであります。
次回は、腎虚・瘀血の腰背痛の記事を記載致します。
参考文献:
『針灸学[臨床篇]』
東洋学術出版社
『中医診断と治療 上巻』
燎原書店
木村