<当院でのコロナウイルス対策のご案内>
当院でのコロナウイルスに対する工夫と処置の
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今回は問診について解説します。
問診というのは患者さんに直接症状の詳細や
既往歴や家族歴、身体の細部にわたるあらゆる事を
会話によって訊ね、病や症状の根本原因は何かを追求する行為を指します。
東洋医学の真髄は”五臓六腑の状態を調えること”にあるので
望聞問切を通して五臓六腑の状態を詳しく知りたいわけです。
なので、問診においても五臓六腑の状態を意識した
問診をすることが大事になってきます。
鍼灸専門学校の教科書でも推奨している
張景岳の「十問歌」というのがあります。
『景岳全書』十問篇
“一問寒熱二問汗、
三問頭身四問便、五問飲食六胸腹、
七聾八渇倶当辯、九問旧病十問因.”
訳:
一に寒熱を問い、二に発汗を問う。
三に頭身を問い、四に便を問う。
五に飲食を問い、六に胸を問う。
七に聾(ろう)、八に渇ともにまさに弁ずべく、
九に脈色により陰陽を察し、十に気味より神見を章かにす。
というように問診の要点を10個にまとめたものです。
10個をそのまま鵜呑みにして問診すれば良いというわけではなく、
例えば“一に寒熱を問い、二に発汗を問う ~”と、
最初に表証の有無を確認するところから入っていますが
これは「先表後裏」の治療原則に則り
一、寒熱~ 二、発汗~としたのでしょう。
表証が無い場合は、望診で見れば分かるようになるので
慣れれば省略しても良いと思いますが、
十問歌を参考に問診しようとしている鍼灸学生さんは
しっかり意味を汲み取って問診してみて下さい。
こういった十問歌をはじめ、
ある程度は問診マニュアルを使えば
引き出せる情報もあるかと思いますが、
核心に迫った情報というのは案外普通に会話をしている時に
ポロポロと出てくることが多い気がします。
例えば、Aさんのことを知りたい時に、
面接を通して接しても外面しか分からないですが、
プライベートでAさんと接していると
Aさんの内面が分かってくるように、
あまり問診という形式に捉われず
普通の会話を意識することで
聞きたかった情報が出てくることが往々にしてあります。
ただ、問診というものは難しいもので、
患者さんの機嫌によって聞けない事情もあり、
デリケートなことであれば尚更で、
どこまで踏み込んでいけるのか、
距離感を測りながら臨まないといけません。
これを克服するには人と人との間にある
信頼関係を築くことが大事で、技術も大事ですが、
医療人として、または人間としての度量を
持ち合わせることがとても重要なことになってきます。