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こんにちは、大原です。
前回は、胆についてで、
六腑の病について前回までに読んでいきました。
霊枢「邪気臓腑病形篇(第4)」より六腑の病⑤
今回は、これら六腑の病に対する対処法についてです。

<原文>
黄帝曰、刺之有道乎。

(黄帝曰く「これを刺すに道あるか」と。)

岐伯答曰、刺此者必中氣穴、無中肉節。
(岐伯答えて曰く
「これを刺す者は、必ず気穴にあて肉節にあてることなかれ。」)

中氣穴則鍼染於巷。中肉節即皮膚痛。
(気穴にあたるときは則ち鍼巷に染めす。肉節にあたるときは則ち皮膚痛む。)

補寫反則病益篤。
(補瀉反すれば則ち病ますます篤し。)

中筋則筋緩邪氣不出。
(筋にあたるときは則ち筋緩みて邪気出でず。)

與其眞相搏乱而不去。
(その真と相搏し乱れて去らず。)

反還内著。用鍼不審以順為逆也。
(反って還りて内につく。鍼を用うること審ならざれば、順をもって逆となすなり」と。)

<意味>
黄帝申されるよう、
「上述のごとき各穴に鍼を刺すには何か一定の法則があるのか」と。
岐伯がお答え申し上げるよう、
「鍼を刺すには必ず正確に気穴にあてるようにし、
決して肉節にあててはなりません。
気穴にあたりますと鍼はその通路において
しっとりと経気にうるおい柔らかに刺入しますが、
肉節にあたりますと皮膚が痛むものであります。
補すべきを写し、写すべきを補すというように
補写を間違いますと、病邪は益々、隅々までひろがって
病は重くなります。
もしまた鍼が筋にあたりますと、
筋力が弛緩して、邪気は出づに真気と搏ち合って乱れて去らず、
かえってもとにもどって内に定着するようになります。
このように鍼を用いることがよくわかって居りませんと、
順をもって逆とするようなことになります」と。
(『鍼灸医学大系⑭』p.514より)

ここでは治療のときの、
主に二つの注意点が述べられています。

①筋節ではなく気穴にあてること
②補瀉を間違えないこと

さて、①の「筋節ではなく気穴にあてること」とはどういう意味でしょうか?

『素問』陰陽応象大論篇には
気穴所発、各有處名。
気、穴に発する所、各々の処に名あり
とあり、気が発せられる穴の場所には名称がある、
すなわち逆にいうと
経穴とは気が発せられている穴の場所
であるということになると思います。

この「気穴」の解釈は他にもあると思いますが、
少なくとも経穴とは
現代の専門学校で習うような、
「解剖学的に○○筋と○○筋の間」
というような単純なものでは無いと
古人はとらえているようですね。

では、「気が発せられている穴の場所」とはどういうところなのか?

これは、今までの六腑の記事の
総括的な内容にもなりますが、
以下に解説を続けますと、
(『鍼灸医学大系⑭』p.516より)
気穴とは府気注する所の経穴なり。故に気穴にあたるときは
則ち鍼は巷に遊ぶ。則ち気穴論のいわゆる遊鍼の居。
鍼入りて間有ること恢恢乎として余地あるを言うなり。
これ府邪の経脈にしたがって気穴に出ずるをいう。

そしてさらに

面熱する者は足の陽明の病。
魚絡血ある者は手の陽明の病。
府気の経脈にしたがって皮膚に出ずるをいうなり。

と、これまでの六腑の病についての内容が
気穴の説明でもあったことがうかがえ、また

皮肉筋骨は脈外の気分なり。
もし肉節にあたるときは則ち皮膚痛み、
筋にあたるときは筋緩み、邪気出でず。
その真気と相乱れて去らず。
反還して内に著く。
皮膚筋骨を刺すときは、府邪をして気穴より出ずること能ざらしめ、
元真の気反って内に著きて邪気と相乱れるなり」

と、筋節ではなく気穴に刺すべきである解説がなされています。

すなわち、これまで六腑の病について述べられた内容に
気穴の場所とはこういうところですよ、
と書かれていると述べられており、
また、その気穴とは
腑の気の経脈にしたがって皮膚に出てくる場所
だと述べられていますね。

コーヒータイム
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■参考文献
『鍼灸医学大系⑭ 黄帝内経霊枢 第1〜第4』 雄渾社
『現代語訳◉黄帝内経素問 上巻』東洋学術出版社
『CASIO EX-word DATAPLUS7』(電子辞書)

興味があおりでしたら、ぜひ参考文献もお読みください。

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