<当院でのコロナウイルス対策のご案内>
当院でのコロナウイルスに対する工夫と処置の

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こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(前回:鍼灸甲乙経 序文その2 )
今回も読み方や意味を拙者が記しています。

<原文と読み>
仲景見侍中王仲宣、時年二十余。
(仲景、侍中の王仲宣見るに、時年にして二十余り。)

謂曰:君有病、四十当眉落、眉落半年而死。
(謂いて曰く「君に病有り、四十にしてまさに眉落ちんとす、眉落ちれば半年で死する。)

令含服五石湯可免。
(五石湯を含服せしめれば免れるべし」と。)

仲宣嫌其言忤、受湯勿服。
(仲宣、その言い忤(さか)らうを嫌い、湯を受けるも服すことなかれ。)

居三日、見仲宣謂曰:服湯否?
(おること三日、仲宣に見え、謂いて曰く「湯を服すこと否か」と。)

仲宣曰:已服。
(仲宣曰く「すでに服した」と。)

仲景曰:色候固非服湯之診、君何軽命也!仲宣猶不信。
(仲景曰わく「色を候うに固く湯を服さざるにこれを診る、君なんぞ命を軽んじるや!」仲宣なお信ぜずのごとし。)

後二十年果眉落、後一百八十七日而死、終如其言。
(二十年の後に眉落ち、一百八十七日後にして死す、その言のごとく終わる。)

此二事雖扁鵲、倉公無以加也。
(この二事、扁鵲、倉公といえども以て加すること無きや。)

華佗性惡矜技、終以戮死。
(華佗、性悪にして技におしみ、りくを以て死に終わる。)

仲景論廣伊尹『湯液』為十数巻、用之多験。
(仲景の論、伊尹の『湯液』を廣げて十数巻と為し、これを用いて験多し。)

近代太医令王叔和撰次仲景遺論甚精、皆可施用。
(近代の太医は王叔和に、仲景の遺論、精をつくすこと撰次するを命じ、皆施し用いるべし。)

<意味>
張仲景が出会った侍中の王仲宣は、当時二十歳過ぎでした。
張仲景は王仲宣に
「あなたには病が有ります、四十歳で眉毛が抜け落ち、
その後半年で死んでしまいます。ですが、
五石湯を服薬すればそのような死を免れることができます。」
と言いました。

王仲宣はその言われたことがどうも気にくわなく、
五石湯を受け取ったものの服用しませんでした。
それから三日がたち、張仲景は王仲宣に会ったときに
「五石湯はまだ飲んでいないのですか?」と尋ね、

王仲宣は「もう飲みました」と答えたところ、
張仲景は「あなたの顔色を診れば五石湯を飲んでいないことはすぐに分かる。
どうして自分の命を軽く考えてしまうのか」と言いましたが
王仲宣はそれを聞いても、まだ張仲景の言うことを信じていないようでした。
そして二十年後、

王仲宣の眉毛は抜け落ち、その187日後に亡くなりました。
この張仲景と、先の『湯液経』を書き著した伊尹は、
名医である扁鵲、倉公といえどもその技術をこえることは無いでしょう。
華佗は性格が悪く、自分の技術をおごりたかぶっていたせいで
殺されてしまいました。
張仲景の医学理論は、伊尹の『湯液経』を充実させて十数巻に編集し、
その理論を臨床現場で用いると多くの効果がありました。
近代の宮廷医師は王叔和に命じ、
張仲景の医学理論のエッセンスを選定させ
順序立てて並べられたので、
その医学理論は誰もが使えるものになりました。

(次回に続く)


今回のところは
張仲景の名医ぶりを説明するためのエピソードとして有名な話です。
張仲景に
二十年後に病が悪化して眉毛が抜けてその半年後には死んでしまうぞ、
でもこれを飲んでおけば大丈夫だ
と言われた王仲宣ですが、
ここを読むと
なんで張仲景の言うことを聞かなかったんだ」と
批判されがちに感じますが、
当時、張仲景が名医であるということが
もし今のように知られていなかったとすると、
言われた王仲宣が
毒でも飲まされるのではないか、
という具合に疑ったりして服薬しなかったのは
普通の感覚だったのかも知れません。

ところで、「これを飲んでおけば大丈夫だ
といった薬は「五石湯」でした。
どんな薬なのか、
『中医臨床のための方剤学』を見てみましたが
載ってませんでした。
名前に「石」とありますので
おそらく石膏が入った薬かと思われます。
何かしら実熱の病だったのでしょうか?
それにしても20年後に発症するとは恐ろしい病ですね。
これが本当なら、それを言い当てた張仲景も凄いですね・・・。

張仲景については、
為沢先生の以前のブログでも紹介されていますので
ぜひ参考にしてください。→【伝説の名医】張仲景

夕焼け
今日も夕焼けが綺麗でした(5月末)

参考文献・辞書
『完訳 鍼灸甲乙経 上巻』 三和書籍
『針灸甲乙経』 人民衛生出版社
電子辞書 CASIO EX-word  xd-N7300
『中医臨床のための方剤学』 神戸中医学研究会

ご興味がございましたら、ぜひ参考文献もご一読ください。

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