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下野です。
これまで『黄帝内経』について
いくつか記事を書きましたので、
そのまとめを今回は記します。
あと登場する書籍の言葉として
『”原”黄帝内経』(漢志に記す)と
『”現”黄帝内経(素問+霊枢)』(隋志に記す)の2種類があります。
ではまとめます。
紀元前の前漢時代の終わり頃、
国の政策として宮廷図書館を設立し、
それまでの様々な古典籍を
李柱国という宮廷医を中心に収集・編纂が行われます。
それまでは名医 淳于意の医術のような
医学は一子相伝の師から弟子へというものしかなく、
世に その医術が公開されることはなかったようです。
それらを先述したように収集、編纂し
「黄帝」の名を冠して保管されたものが
『”原”黄帝内経』(漢志に記す)ではないか?
それであって
『”原”黄帝内経』は紀元前816〜216年というものになっているのでは
と個人的には思います。
ただこちらに関しては、
完全に失われたとされているため、どんなものかは不明です。
それとほんの少しだけ時代が重なる紀元前220年頃、
編纂者不明の『”現”黄帝内経(素問)』(隋志に記す)が編纂され、
これが後に全元起や楊上善、
そして現代の素問(原本は失)の基になっている
王冰の注釈本が登場してきます。
その為、
後漢や唐代の名医である張機や孫思邈は
書物の序文に『素問』と記しているのだと思います。
ただ厄介なのが、
皇甫謐が編纂した『甲乙経』の序文。
ここに自分の手元にある『素問』と
『”現”黄帝内経(霊枢)』に類似した『鍼経』九巻という書物を
使用して『甲乙経』を編纂し、
その序文にこれが漢志にある『黄帝内経』だと記したのです。
今では
この『甲乙経』の序文がそのまま引き継がれ
『黄帝内経』は『素問』と『霊枢』となっています。
ただ、皇甫謐の説が本当か?
黄帝内経はやはり別物だ!
というのは、まだ確実な証拠がなく、
以前もブログに記しましたが
黄帝内経=素問・霊枢となっています。
<参考文献>
『図解入門よくわかる黄帝内経の基本としくみ』 秀和システム
『現代語訳◉黄帝内経素問 上巻』 東洋学術出版社
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『素問考注 附四時経考注 上』 学苑出版社
『素問釈義 上』 学苑出版社
『霊枢講義 上』 学苑出版社
『扁鵲倉公伝』 京都大学附属図書館所蔵
『鍼灸甲乙経12巻』 京都大学附属図書館所蔵
『医籍考.巻1,3-80』 早稲田大学図書館 (Waseda University Library)
『備急千金要方』 中国医薬科技出版社
『注解傷寒論 金匱玉函経 影印本』 人民衛生出版社