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こんにちは、大原です。
『霊枢』終始篇の続きです。
今回がこの「霊枢 終始」シリーズの最終回となります。
(前回の記事 →霊枢』の終始 その14)

<原文>
太陽之脉其終也、戴眼反折瘈瘲。
其色白、絶皮乃絶汗。絶汗則終矣。
少陽終者、耳聾、百節盡縱、目系絶。目系絶一日半則死矣。其死也、色青白乃死。
陽明終者、口目動作、喜驚妄言。色黄、其上下之經盛而不行則終矣。
少陰終者、面黒、齒長而垢。腹脹閉塞、上下不通而終矣。
厥陰終者、中熱嗌乾喜溺心煩。甚則舌卷卵上縮而終矣。
太陰終者、腹脹閉不得息。氣噫善嘔。嘔則逆。
逆則面赤。不逆則上下不通。上下不通則面黒皮毛燋而終矣。

<読み>
太陽の脉其の終わるや、戴眼し反折し瘈瘲す。
其の色白、絶皮乃ち絶汗す。絶汗則終矣。
少陽の終る者は、耳聾し、百節く盡縦み、目系絶す。
目系絶するは一日半にして則ち死す。其の死するや、色青白にして乃ち死す。

陽明の終る者は、口目動作し、喜く驚き妄言す。
色黄、其の上下の経盛んにして行かざるときは則ち終る。

少陰の終る者は、面黒く、齒長じてこうす。腹脹し閉塞し、上下通ぜずして終る。
厥陰の終る者は、中熱し嗌乾き喜溺し心煩す。
甚だしきときは則ち舌巻き、卵上り縮みて終る。

太陰の終る者は、腹脹閉して息するを得ず。
氣噫し、善く嘔す。嘔するときは則ち逆す。
逆するときは則ち面赤し。逆せざるときは則ち上下通ぜず。
上下通ぜざるときは則ち面黒く皮毛やつれて終る。

意味を
雄渾社『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢(第15巻)』(876ページ〜)
から確認していきます。

手足の太陽経の脈気将に絶えんとするときには、
両眼はつりあがって転動することなく、
身体はのけぞって、手足はひきつけ、顔の色は蒼白となり、

絶皮には絶汗が出るようになります。
絶汗するようになったら即ち死亡であります。

手足の少陽経の脈気、将に絶えんとするときには、
患者の耳は聾し、からだ中の尽くの節々がゆるんで力がなくなり、
目系が絶し眼球の転動ができないようになります。
このような眼球の転動不能の症状が現れますと
一日半位で死亡いたします。
その際顔の色は、青白くなって死するものであります。

手足の陽明経の脈気が将に絶えんとするときには、
口や目が発作を起こして瞤動して牽引歪斜し、
よくパッと緊張したり、
又とりとめもないことを言い、
面色は黄色となり、
上下二経の脈は躁動して盛んなような現象を表現しても
胃気已に絶えて通じないようになったら、それは死であります。

手足の少陰の経の脈気が将に絶えんとするときには、
患者の面は黒色となり、牙根収縮して所謂歯ぐきがこけて
歯は恰かも伸びたように長くみえるようになる。

表面は垢れ、腹は脹って閉塞し大小便が出ないようになって死亡するものであります。

手足の厥陰の経の脈気の将に絶えんとする場合には、
患者の胸中熱し、嗌は乾き、よく小便をし、心はいらいらし、
甚だしいときには舌が巻き、睾丸が縮み上がって死亡するものであります。

手足の太陰の経の脈気の将に絶えんとする場合には、
腹部が脹満閉塞して呼吸することもできないようになる。
気道滞塞してよくおくびをしたりよく嘔吐をいたします。
嘔吐するときには、気が上逆いたします。
気が上逆いたしますと
面の色は赤くなります。
上逆しないときには上下が通じないようになります。
上下通じないときには、面の色黒くなり皮毛はやつれて終るものであります。

ここでは手足の各経脈の気が絶えようとするときに、
どのような症状が出るのかが記されています。

その症状の内容は各経ごとに違っていますが、
この終始篇の次の篇である経脈篇にも
各経ごとに、
いわゆる是動病・所生病という
経ごとの病の内容が記されています。

今回の終始篇に記されている内容は
手足の太陽、陽明、少陽、太陰、少陰、厥陰の経と6つに分類されていますが、
経脈篇では手太陰経からはじまって十二経がそれぞれ独立して書かれています。

終始篇と経脈篇の、
病についての記述をざっと見てみますと、
個人的には、やや似通っている部分があるようにも感じられます。

・・・終始篇と経脈篇の病における記述を比べてみますと、
例えば手足の少陽経については
上述の終始篇では
手足の少陽経の脈気、将に絶えんとするときには、
患者の耳は聾し、からだ中の尽くの節々がゆるんで力がなくなり、
目系が絶し眼球の転動ができないようになります。
このような眼球の転動不能の症状が現れますと
一日半位で死亡いたします。
その際顔の色は、青白くなって死するものであります。
とありましたが、

経脈篇では
<手少陽三焦経>雄渾社『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢(第15巻)』(990ページ〜)
耳が聾して、音がはっきり聴こえず、嗌は腫れ喉痹の症状が起こります。
これはつまり主気の生ずる所の病であります。
其の他三焦経に関連ある症状としては、
汗が出て目の鋭眥が痛んだり、頬が痛んだり、或いは亦、
耳後、肩、臑、肘、臂の外などが皆痛み、無名指が使えないようになることもあります。

<手少陽三焦経>雄渾社『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢(第15巻)』(998ページ〜)
口が苦くなり、善く太息(溜め息をすること)し、
胸脇部が痛んで寝返りすることができず、
甚だしいときには顔中微かに土気色となって体に膏沢を失い、
足の外がかえって熱するようになります。これを陽厥と申します。

以上の如き症状は主骨が生ずる所の症であります。
其の他この経脈に関連ある病症としては、
頭痛、頷痛、目の鋭眥が痛み、欠盆の中が腫痛したり、
腋下が腫れたり、馬刀挾癭、汗出て振塞したり瘧になったり、
胸、脇、肋、髀、膝外、経の絶骨、外踝の前に至るまで及び諸関節皆痛み、
第四肢が役に立たずというような症状を起こします。

と、書かれています。

・・・比べてみると、
耳、目、関節の異常、顔色が悪くなる
というところが共通していますね。
他の経についても
ちょっと似ているな、と思う部分もあります。

内容が似ている理由として
『霊枢』は終始篇の次が経脈篇ですので、
もしかすると
この終始篇で大まかに
「経ごとに異常が出れば、それに応じた病が生じますよ」
と言っておいて、
この次の経脈篇で
その詳細についてを述べているということなのかも知れません。

終始篇は以上になります。
ご愛読ありがとうございました。

お散歩日和
お散歩日和

参考文献:
『鍼灸医学体系 黄帝内経霊枢』第15巻 雄渾社

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