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こんにちは、大原です。
『霊枢』終始篇の続きです。
(前回の記事 → 『霊枢』の終始 その13

<原文>
男内女外、堅拒勿出、謹守勿内、是謂得氣。
凡刺之禁。
新内勿刺。
新刺勿内。已醉勿刺。已刺勿醉。新怒勿刺。已刺勿怒。新勞勿刺。已刺勿勞。已飽勿刺。已刺勿飽。已飢勿刺。已刺勿飢。已渇勿刺。
已刺勿渇、大驚大恐必定其氣乃刺之。
乘車來者、臥而休之如食頃乃刺之。
出行來者坐而休之如行十里頃乃刺之。

<読み>
男は内に女は外に、堅く拒して出づることなく、謹しみ守りてはいることなかれ、是れを得氣と謂う。
凡そ刺の禁。
しんにいれて刺すことなかれ。
新に刺して内れることなかれ。
已に酔って刺すことなかれ。
已に刺して酔うことなかれ。
新に怒して刺すことなかれ。
已に刺して怒ることなかれ。
新に勞して刺すことなかれ。
已に刺して勞することなかれ。
已に飽して刺すことなかれ。
已に刺して飽すことなかれ。
已に飢して刺すことなかれ。
已に刺して飢することなかれ。
已に渇して刺すことなかれ。
已に刺して渇すことなかれ。
大いに驚ろき大いに恐れては、必ず其の氣を定めて乃ちこれを刺す。
車に乗り来る者は、臥してこれを休ましむること食頃のごとくにして乃ちこれを刺す。
出行して来る者は坐してこれを休ましむること十里頃を行くがごとくにして乃ちこれを刺す。

<意味>(『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』第15巻 862ページ〜865ページより抜粋)
男子はみだりに房中に入ることのないようにし、女子は房外に出ることのないようにして
日常の房事を節制することが必要である。
これがため女子は堅く拒んで出ないように心がけ、
男子は慎み守って女子の居る部屋の中には入らぬようにしなければなりません。
これが即ち精気を充実する所以であります。


さて刺鍼をする場合には封じ込めて置かねばならぬ注意事項が十二あります。

房事を実施した直後に刺鍼をしてはなりません。
刺鍼した直後に房事をしてはいけません。
酒を飲んで酔うて居るときの刺鍼はさけねばなりません。
刺鍼したばかりで、酒を飲み酔うてはいけません。
非常に気の立って居るときに刺鍼してはなりません。
刺鍼した直後に気の立つようなことをしてはいけません。
はげしい労働をした直後に刺鍼してはいけません。
刺鍼したばかりではげしい労働をしてはいけません。
食事の直後、満腹のときに刺鍼をしてはなりません。
刺鍼の直後満腹する程食事をしてはなりません。
非常に腹のすいて居るときに刺鍼してはなりません。
刺鍼直後飢えるような状態となってはいけません。
非常に渇して居るときに刺鍼してはなりません。
刺鍼した直後に渇するような状態となってはいけません。
非常に驚したとき、非常に恐したときには必ず其の気をしずめてから刺鍼すること。
車に乗って来た者は、臥して休ませ、しばらくたってから刺鍼すること。
外に出て、歩行して来る者は、坐して之を十里ばかり行く時間休ませてから刺鍼すること。
(周代の一里とは、三百復歩約四〇五米従って十里は現在の約四粁(一里)にあたる)

最後の文にある「」は「キロメートル」と読むそうです。
このような漢字があったんですね。
さて、上の続きですが

<原文>
凡此十二禁者、其脉亂氣散。
逆其營衞、經氣不次。
因而刺之則陽病入於陰。陰病出為陽。則邪氣復生。
粗工勿察。是謂伐身。形體淫泆、乃消腦髓、津液不化。脱其五味。是謂失氣也。

<読み>
凡そ此の十二禁なる者、其の脈乱れ気散ず。
其の営衛に逆し、経氣次せず。
因って之を刺すときは則ち陽病陰に入、陰病は陽に出ず。則ち邪気復た生ず。
粗工は察することなし。是を身を伐すと謂う。形體淫泆して、乃ち腦髓を消し津液化せず。
其の五味を脱す。是を失氣と謂うなり。

この二つ目の段落では、
前の段落にあった十二禁を行ってしまうと気がバラバラに散じてしまい、
そのような状態の中で刺鍼をすると身体の状態を悪化させてしまうことに
つながり、このことを「失気」といいます」とあります。

では、順番が逆になりましたが、
その十二禁とはどのようなものかが上の段落にありますので、
すでに訳を引用しましたが
まとめてみます。

刺鍼の直前や直後にて
次のことをすると「失気」(精気を失うため)になるため
体調を崩していまいやすくなるので、
やってはいけないということが書かれています。
・房事
・飲酒
・気が立つこと(怒ること)
・満腹になること
・空腹になること
・のどが渇くこと

また、刺鍼前に注意すべき点として
・驚いたり恐怖を感じていた場合にはその気を鎮めること
・車に乗ってきた場合はしばらくしてから刺鍼すること
・歩いてきた場合は休ませてから刺鍼すること

とあり、まとめると、
患者さんの精気が充実していることが重要で、
刺鍼やその他のことで精気が散じてしまってはだめであり
そのための注意すべきことが
具体的に述べられていますね。

ちなみに房事とは男女の性行為のことですが、
これが一番最初に書かれているのは
当時、房事によって精気が少なくなることにより
体調を崩す人が多かったためなのかも知れません。
この房事についての注意や
その次の飲酒についての注意は
「素問 上古天真論篇(第1)」でも出てきてますね。

続きます。

用事があったので久しぶりにやや遠出しました。夕焼けが大きく見えました。
用事があったので久しぶりにやや遠出しました。夕焼けが大きく見えました。

参考文献:
『鍼灸医学体系 黄帝内経霊枢』第15巻 雄渾社
『現代語訳◉黄帝内経素問 上巻』 東洋学術出版社

ご興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。

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