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こんにちは、大原です。前回の続きになります。
(前回:『霊枢』の「終始」 その12)
前回は謬刺びゅうしについてでした。
今回は、その後の
刺鍼における心構えについて書かれているところを
みていきます。

<原文>
散氣可収、聚氣可布。
深居静処、占神往来、閉戸塞牖、魂魄不散、専意一神、(精氣之分)、
毋聞人聲、以收其精。
必一其神、令志在鍼。
淺而留之、微而浮之、以移其神、氣至乃休。

<読み>
散氣は収すべく、聚氣は布すべし。

深居し静かにおりて、神の往来を占い、戸を閉じ牖を塞ぎ、魂魄散ぜず、
意を専らにし神を一にして、(精氣の分)、

人聲を聞くことなく、以て收その精を収む。
必ず其の神を一にし、志をして鍼に在らしむ。
浅くしてこれを留め、微にしてこれを浮し、以てその神を移し、氣至って乃ち休む。

はじめの文章の意味ですが、
雄渾社『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢(第15巻)』(859ページ)から
言葉の意味を抜粋しますと
散気:精気の外散するもの
収:とりあつめること
聚氣:積聚する邪気
布:ひろげる意味で、つまりちらすこと
とあり、文章にまとめると
外に出て散っている精気は体内に集め、
体内に集まっている邪気は外に散らすべきである
という意味になります。

次の文章ですが、鍼をする際の心構えが書かれています。
以下、同書(858ページ)から抜粋します。
医師たる者はあらかじめ自らの神を養って鍼を行うべきであります。
凡そ鍼を用うる者は患者の精神の活動情況を観察せねばなりません。
それがためには幽静な処に居して外界の雑音に遠ざかり、
戸を閉じ牖を塞ぎ、魂魄の散ぜぬようにし、
意を専らにし、神を統一し、他人の声に耳を傾けず
もって其の精を収むることに心がけ、
刺鍼の実地に方っては必ずその精神を統一して志を鍼に集中して、
浅く刺して之を留め、
微かに之を浮かして、患者の神を移し、
気が至ったならば乃ち止むるのであります。

ここで書かれている「神(しん)」とは精神状態のことです。
また、「牖(ゆう)」とはいわゆる「まど」のことで、
採光や通風のため壁や屋根などに設けた開口部をいうようです。

刺鍼時には
気持ちを集中させることが重要であるということが、
具体的に詳しく記されていますね。

昼間はもう夏のような暑さですね(5月中旬にて)
昼間はもう夏のような暑さの日がありますね(5月中旬 大阪内のとある道にて)

参考文献
『鍼灸医学体系 黄帝内経霊枢』第15巻 雄渾社
『黄帝内経 素問』上巻 東洋学術出版社

ご興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。

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