こんにちは、大原です。
前回の続きです。

『霊枢』に出てくるキーワード「終始」という言葉を
紐解いていってますが、
前回は、『霊枢』九鍼十二原篇(第1)の
はじめの部分をみていきました。
『霊枢』終始篇 その1

さて今回は
『霊枢』本輸篇(第2)のはじめの部分です。
ここにも「終始」がでてきます。

<原文>
黄帝問於岐伯曰、
凡刺之道、
必通十二經絡之所終始
絡脉之所別處、五輸之所留、
六府之所與合、四時之所出入、
五藏之所溜處、闊數之度、淺深之状、高下所至、願聞其解。

<読み>
黄帝問いて岐伯に曰く、
「凡そ刺の道、
必ず十二経絡の終始する所、
絡脉の別れる所の處、
五輸のりゅうする所、
六府の與合よごうする所、
四時の出入する所、
五蔵の溜する所の處、
闊数かっさくの度、
浅深の状、
高下至る所に通じぜよと。
願くばその解を聞かん」と。

では意味をみてみましょう。

<意味>(『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』第14巻 297ページより引用)
黄帝が岐伯に問いて申されるには
「凡そ、刺鍼の道理というのものは
必ず十二経脈および経絡の流注分布の起点および終点
ならびに十五経絡の別れ出る所の処、
井榮兪経合の五輸穴の留在する部位、
六腑が五臓と表裏一体となって相関連している状態、

春夏秋冬四季時令気候の状態が人体に影響して血気の盛衰出入の反応を現出する状況、
五臓経絡の気が溜する所の体表の部位、
経脈ら絡脈の浅部または深部に分布している状態、
上は頭面より下は肢末に至る相互の関係等について

よく精通していなければならないという。
これらの諸問題についてその説明をお願いしたいのだが」と。

ここでの「終始」の意味は、
単に経脈の「始めと終わり」という意味で
用いられているようですね。
ですので、ここでの「終始」の意味は
単純で分かりやすいですが、
この段落全体の意味はとても重要です。

ちなみに「」と「處(処)」という、
現代の漢字の意味からすると似たような意味の漢字が
続けて出てきていますが、
本来の漢字の意味として
」は何かの動作している状態などの現実を示すもので、
」はあるところに集中停着することであり、
こちらがいわゆる「ところ」「場所」の意味になるようです。

例えば「別れる」は
「別れるということを実現している場所」の意となるそうです。

続きます。

電車の旅
電車の旅にて

参考文献
『鍼灸医学体系 黄帝内経霊枢』第14巻 雄渾社
『現代語訳◉黄帝内経 霊枢』上巻 東洋学術出版社

ご興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。

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