こんにちは、大原です。
『魂のありか』という本に、
人の精神・魂は
大昔からどのように考えられてきたのかについて、
東洋医学と関わりのある書物などをもとに
考察された内容が述べられています。
その中で
「人には、いつ魂が宿るのか?」という疑問に対しての
仮説が述べられていて興味深いです。
・・・科学的には実証しにくい内容ですので、
現代ではどちらかというと
オカルトチックな話になってしまいがちですが、
東洋医学では
精神状態も病・症状と関係すると考えますので、
そのあたりの考察も古くからなされていたのですね。
話を戻して、
人はいつ魂が宿るのか?について、
『諸病源候論』という医学書を引用して
仮説が述べられていました。
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『諸病源候論』妊娠候(第41巻 婦人妊娠諸病(上))より一部抜粋
妊娠十月、
五臟俱備、六腑齊通、
納天地氣受於丹田、
故使關節人神咸備、然可預修滑胎。
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大まかな意味としては、
「妊娠10ヶ月で
五臓がすべて備わり六腑はそろって通じる。
天地の気を受けて丹田に入れ、
関節や人神をすべて備えることができる」
となるようです。
ここでいう「人神」が
人の「魂」のことであると
著者は推察しておられ、
妊娠して10ヶ月という、
胎児の肉体がほぼ母体の中で完成し
その最後の段階として
天地の気を受け、
魂が宿る
ということになります。
この『諸病源候論』は、
中国の隋の時代に
巣元方という名医
(当時の肩書は「太医博士」というものだったようです)が
編纂した医書で、
現代でも臨床の参考文献の一つとして
役立てられている医典です。
詳しくは一鍼堂の過去のブログにございますので
参照してみて下さい。
<過去の記事:【隋代の名医】巣元方>
https://www.1sshindo.com/blog/zenith17990/
上の原文の読み方(書き下し文)について、
誤っているかも知れませんが
拙者の読みを参考に記します。
<参考:書き下し文>
妊娠十ヶ月、
五臓がともに備わり、六腑がひとしく通じ、
天地の気を受け丹田に納め、
故に関節、人神ことごとく備えさせ、
然ればあらかじめ胎を修め滑らかになるべし。
参考文献:
『魂のありか 中国古代の霊魂観』 角川選書
『校釈 諸病源候論』 緑書房
興味がございましたら、ぜひ参考文献もご参照ください。