こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(前回の記事:黄疸①)
中国の書籍を訳していますが、
辞書に載っていない言葉もいくつかあり
文脈などから読み取って訳しています。
前回同様、そのように推察して訳した箇所は
文字の色に変えていますので参考にしてください。
また、日本語が怪しい箇所もありますがご了承ください。
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二.病機
1.発病
黄疸は、湿熱・疫毒(ウイルス)によるものは病勢がにわかで激しく、
病状も一番危険であり伝染性が強い。
湿熱・外邪・砂石(砂や石?)・虫体(=おそらく寄生虫)は胆道を塞き止め、
多くの病の原因となり、
またその場合の病状には緊急を要する場合が多い。
逆に、内傷によるものは比較的緩やかな病勢となる。
2.病位
病位(病の場所)は、
主として、肝、胆にあり、
さらに脾、胃、心、腎も関係がある。
3.病性
・外感によるものや急性の発作性の黄疸の病性(病の性質)は、
湿熱、疫毒等の邪実が主となる。
・内傷あるいは慢性的な発作的な黄疸の病性は、
虚実挟雑、本虚標実が多い。
本虚(正気の虚が中心である病性の場合)は
脾胃・肝腎・脾腎の不足が主となり、
標実(邪実が症状の標とばる場合)は
湿熱あるいは寒湿、瘀血が(黄疸の色などの)特徴的な部分をなす。
これらの特徴から「陽黄」、あるいは「陰黄」と区別する。
4.病勢
本病の一般的な最初の段階は、
湿熱が脾胃に蘊結し(強く結びついて)、
肝胆を阻滞して燻蒸(陰液を損なってしまうほど熱が強い状態)する。
湿熱が肝・腎の陰を耗傷し、
あるいは寒涼の薬剤や
湿熱を寒化させる薬剤を過度に用いてしまって脾陽を耗傷し、
あるいは甚だしければ腎の陽気を耗傷して、
同時に湿毒が滞留し、気血の運行が阻害され、
実が虚に転じる、あるいは虚実挟雑が出現することがあり、
中焦の病や下焦に病勢が及ぶ。
湿熱化毒あるいは疫病の毒邪を感受すると、
熱毒が熾盛(熱が盛んで非常に強い状態)し、
肝胆が燻灼(炎が激しく燃え盛るような、非常に熱が強い状態)することによって、
心営、肝腎が一段と損耗し、
上中下三焦ともに病勢が及び、
気血陰陽みな傷変(病がさらに悪化する病変)が出現する。
内傷(臓腑の失調)があると、
緩慢に黄疸の病が起こり、
はじめは臓腑の作用が不足して寒湿あるいは湿熱毒邪が患(病)をなす。
もし正気の虚があって邪に勝てなければ湿毒を滞留させ、
気血の運行を阻害し、気滞血瘀となり、
これが長く続くと臓腑陰陽がさらに損なわれ、
虚実兼挟の病勢が出現する。
5.病機転化
外感湿熱、飲食不節、あるいは過度の飲酒により、
湿熱が生じて脾胃に蘊結し肝胆に燻蒸するものが「陽黄」で、
熱が盛んで陰を傷ると陰虚湿阻にいたる。
また、苦寒薬を過度に用いて陽を傷り、
あるいは素体として陽虚であって湿邪が寒化し、
寒湿困脾、「陰黄」に転じる。
脾胃肝胆による湿熱からなる「陽黄」は、
湿熱が気機を阻滞すると、
血行不良となって肝胆の血瘀の発生につながる。
湿熱は互いに結んで毒と化して臓腑に氾濫し、
熱毒熾盛に転化する。
熱毒が解けず、
深く心営(心にある営分:ここでは、病が
気から営血の深い段階へ陥っていこうとしている状態を表していると考えられる)に入り、
心包に内陥し熱毒内陥証に転化する。
熱毒が正気を長く傷ると肝腎の陰陽が衰える。
寒湿を感受する、あるいは、
「陽黄」が陰に転じて寒湿困脾、陰黄証に転じ、
陽気が抑えられると一歩進んで脾腎陽虚にいたって、
気血の運行が阻滞し
瘀滞両脅(=瘀血によって気血両方がおびかされる?)、肝血瘀阻にいたる。
■参考文献
『中医内科学(第2版)』 人民衛生出版社
『Ex-word XD-N7300』(電子辞書) CASIO
『基礎中医学』 燎原
興味がおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。