こんにちは、大原です。
今回は『中医内科学』の肝胆の病の1つ目
「黄疸」についてです。
中医学の専門用語がところどころありますので、
用語の意味については
『基礎中医学』などの基本書をあたってみてください。
また、日本語訳が難しい箇所や自信の無い箇所は
文字の色を変えております。
黄疸
<定義>
黄疸は流行性の疫毒、湿熱、寒湿等の外邪の侵襲や、
飲食失節、過度の飲酒、毒物の誤食、あるいは
労倦内傷(働き過ぎや休み過ぎによる臓腑の失調)によって起こり、
疫毒の滞留、寒湿、湿熱、気滞血瘀および脾胃の作用の失調をもたらし、
胆の疏泄が失われて胆汁が氾濫して、
顔面、目、皮膚が黄色くなり、
小便は黄色または赤色になるというのが
主要な病症である。
<範囲>
本病症は多くの種類の外感病や内傷病中に存在し、
西洋医学でいう黄疸と同じものである。
西洋医学におけるウイルス性肝炎、中毒性の肝損傷、肝硬化、胆石症、
胆嚢炎、先天性胆紅素代謝功能欠陥(=先天性ビリルビン代謝異常症)、
溶血性黄疸、钩端螺旋体病(=レプストピラ症)等、
黄疸の症候が備わっていれば本節の弁証論治を参考にすべきである。
その他に敗血症や膵炎、妊娠中の黄疸もまた本節を参照して良い。
さらに、肝癌、胆嚢癌、膵臓癌、
乏特氏壺腹周囲癌(=おそらく十二指腸乳頭部癌と思われる)等は
黄疸を引き起こし、これらも本節を参考にして良い。
<病因病機>
一.病因
1.原発的な原因(胆嚢やその周囲に原因があるもの)
湿熱あるいは寒湿、流行性のウイルス等の外邪侵襲が
外感としての黄疸の原発病因となる。
また、過度の労倦、飲酒や食事の不節(食べ過ぎや飲み過ぎ)、
情志抑鬱などによって臓腑が虚損し、
内傷としての黄疸の原始病因となる。
2.継発的な原因(全身疾患の一症状として生じるもの)
砂や石、虫体(=おそらく寄生虫)などが胆道を阻滞させる、
積聚が長い間消えない、あるいは瘀血が胆道を阻滞させる、
これらにより胆汁が外に溢れ出し黄疸が発生する。
3.誘発因素(誘発因子)
外邪の感受、飲食の失節(節度を失った飲食=暴飲暴食)、
突然の驚きや恐れ、思うようならない感情、労倦内傷など
どれもみな誘発因子、増悪因子となる。
長くなりましたので、
次の「二.病機」については次回にします。
■参考文献
『中医内科学(第2版)』 人民衛生出版社
『Ex-word XD-N7300』(電子辞書) CASIO
『基礎中医学』 燎原
興味がおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。