こんにちは、大原です。
前回の続きになります。
(前回の記事 → 感冒① )
二.病機
1.発病
外邪が人体を侵襲し発病に至るか否かは、
正気の強弱によると同時に、感受した邪の軽重と密接に関係する。
もし内外に相関があれば(正気の虚と外邪に関係が深い場合には)、
発病は迅速になる。
2.病位
肺衛が主となる。肺は気を主り、呼吸を司る。
上は喉を通り、鼻に開竅し、外は皮毛に合し、職は衛外を司る。
性質は嬌臓に属し、邪の侵襲に耐えることができない。
鼻と喉は、清気の昇降出入の通り道である。
もし外邪が口鼻、皮毛より乗じて襲えば、
肺衛はその衝突を真っ先に受け、
邪は内で肺に合する皮毛より入り、口や鼻より受けた邪は直接肺を犯し、
また衛表に及んでいく。
ゆえに邪を感受したのち、かなり早く衛表および上焦の症状が出現し、
もって衛表は和せず、肺は宣発出降の機能を失って病を為す。
感冒の病位は、多くの状況があるといえども、肺衛に限るのであるが、
ただ、正気の虚弱がある場合には、あるいは、
もともと旧病がある場合にも、
流行性の多種多様ないわゆるカゼの症状をあらわすので、
肺以外の臓腑が病位となることがある。
外邪が裏に入るかのごとく、病が少陽に及んだ場合は邪は半表半裏に入り、
枢機不利となる。
もし痰湿の体質なら外湿を受けやすく、内外が関係し合い、
中焦である脾胃に取り込まれやすくなる。
3.病性
一般的に実証が多くを占め、虚で邪を受ければ本虚標実の証となる。
実であれば、表裏寒熱および邪気の種類により違いがあり、
虚であれば気血陰陽の虚によって違いがある。
4.病勢
総合的に、発病の趨勢(動向)は邪が肺衛を襲い、
多くは表証が主で伝変を発することはかなり珍しく、
ほとんどの場合、短期間で治癒にいたる。
年を取って身体が弱くなると抵抗力に差が出てくるため、
外邪は表から裏に及んで難解な病症となる。
もし素体として旧病があり、
客した邪がもともとの疾病に加わることで
常に病は悪化に向かい、
あるいは他の重大な病を引き起こす。
5.病機転化
はじめは風寒あるいは風熱の邪の侵襲によるものが多く、
外邪が表を束ね肺を犯し、肺衛の機能が失調する。
この状態であれば、寒と熱とが転化あるいは錯雑して出現する。
風熱が解けず、あるいは寒邪が鬱して熱化すれば
病は転化し肺衛熱証となる。
もし邪が鬱して解けず、あるいは痰熱湿濁が入り混ざり、
半表半裏に客して邪を形成した場合は募原を犯す証を形成する。
病邪が裏に伝わり熱化して表寒がいまだ解けない場合、
内外ともに実となり、表寒裏熱証をなす。
もし流行性の病毒(ウィルス)が裏に入れば熱化は速く、
裏熱が氾濫し熱毒熾盛の証をなす。
甚だしければ心包に熱が陥り、肝風を引き動かして病状は重篤となる。
もし繰り返し邪を感受すれば、正気は損耗して実から虚に転じ、
あるいは虚によって邪を感受した場合には、
正気の虚が癒えれば病機は転化して正虚が邪実となす。
続きます。
(中医学の専門用語がところどころありますので、
用語の意味については
『基礎中医学』などの基本書をあたってみてください。)
■参考文献
『中医内科学(第2版)』 人民衛生出版社
『Ex-word XD-N7300』(電子辞書) CASIO
『基礎中医学』 燎原
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。