こんにちは、為沢です。
芸術の秋…というか、もう冬ですが、
最近どの美術館にも行ってへんなぁと思ってたら
中之島で「Osaka Art & Cruise」という面白そうなイベントが控えておるようです。芸術とクルージングを楽しみ、バルというチケットによる食べ歩きも楽しめるみたいなので(12月8日〜11日の4日間しか開催しておりませんが)、どこかで時間を作って行ってみようと思います。
はい。では、今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(中)の四十六章と四十七章。四十六章では、傷寒が何日も治らない場合の証治について。四十七章では、四十六章の内容を受けて鼻血が汗の代わりになることについて述べております。
弁太陽病脈証并治(中)四十六章
太陽病、脉浮緊、無汗、發熱、身疼痛、八九日不解、表証仍在、此当發其汗。
服藥巳微除、其人發煩目瞑、劇者必衄、衄乃解。所以然者、陽気重故也。
麻黄湯主之。十六。用前第五方。
和訓:
太陽病、脉浮緊に、汗なく、發熱、身疼痛し、八九日解せず、表証仍在るは、此れ当に其の汗を発すべし。
服藥し巳りて微かに除き、其の人発煩目瞑し、劇しきものは必ず衄し、衄すれば乃ち解す。
然る所以のものは、陽気重るが故なり。麻黄湯之を主る。十六。前の第五方を用う。
太陽病を患い、脉浮緊、無汗、発熱、身疼痛する者
・八九日不解、表証仍在、此当發其汗
8〜9日経過してもまだ治らない場合は、表証が治っていないからで
それには発汗法を行わなければならない。
・服藥巳微除
薬を服用して徐々によい状態に向かっている
・其人發煩目瞑、劇者必衄、衄乃解
「發煩」は胸がムカムカしたり、イライラすること。
「目瞑」の瞑は目を閉じる事。はっきりと見えないという意味。
「劇」の意は、ひどい。「衄」は鼻血のこと。
病状がひどい者は鼻血があり、鼻血が出れば程なく治っていく。
これは表熱がひどくなりすぎて、熱邪が鼻血として外に出ていくからである。
・所以然者、陽気重故也
「陽気重」これは邪気が長い間、表を停滞したために内熱に変化した様子である。
鼻血によって病が治るというのは、鼻血と一緒に内熱が除かれるからであり、
発汗の代わりに表邪を除く一つの方法といえる。
提要:
傷寒が何日も治らない場合の証治について
訳:
太陽病で、脈浮緊、汗が出ない、発熱、身体疼痛などの証があり、
八九日を経てもよくならず、表証が依然として存在する場合、これは発汗法で治療せねばならず
麻黄湯を用いると良い。服用した後、表証の改善がみられたのに、患者はいらいらや、視力低下を訴えたり
ひどい場合は鼻出血があり、出血しああと病証が治癒することがある。
このような反応がおこるのは、陽気が極めてひどく鬱閉しているからだ。第十六法。前記第五法の処方を用いる。
四十七章
和訓:
太陽病、脉浮緊に、發熱し、身に汗なく、自ら衄するものは、愈ゆ。
・太陽病、脉浮緊、發熱、身無汗、自衄者、愈
血と汗は同類のもので、どちらも水穀の精微を源としている。
“血“は飲食物が脾胃の働きにより水穀の精微となり、
その一部が紅く変化して経脈の中を流れているもの。
“汗“とは身体全体の経脈の外の流れ、水穀の精微の一部が腠理から出たものである。
従って傷寒の表実証で発汗させようとしても出ない場合や、
陽気が表に出られず内に何日もこもっているような場合、
その陽気の停滞が絡脈に影響を与えれば鼻血が出る。
その鼻血によって自然に傷寒が解け、表邪が除かれていく。
提要:
四十六章を受けて鼻血が汗の代わりになることを述べている。
訳:
太陽病に罹って、脈は浮緊で、発熱があって、身体には汗が出ていない場合、
鼻出血がおこると、病は自然に治る。
参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
為沢
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是非参考文献を読んでみてあげて下さい。