こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(前回:鍼灸甲乙経を読む その59
前回は「木形之人」についてでした。
今回は「火形之人」をはじめ、以下4つの形についてです。

火形之人、
比於上徴、赤色廣●(●=にくづき(月)に引)、
脱面小頭、好肩背髀腹、小手足、行安地、疾心、行搖肩、背肉滿、
有氣輕財、少信多慮、見事明了、好顧急心、不壽暴死。
奈春夏不能秋冬、秋冬感而病生、手少陰竅竅然。
太徴之人、比於左手太陽、太陽之上肌肌然。
少徴之人、比於右手太陽、太陽之下慆慆然。
右徴之人、比於右手太陽、太陽之上鮫鮫然。
判徴之人、比於左手太陽、太陽之下支支然、頤頤然。

少し長くなりますが、意味は以下のようになります。

火形の類型に属する人は、
五音中の「上」に比類すべきもの(同じたぐいのもの)で、
南方地区の人間とよく似ている。

<火形に属する人の特徴>
・皮膚の色が赤い
・背部ががっちりとして肉付きが良い
・顔が引き締まって細おもてで頭は小さく肩背もも腹はすらっとして上品である
・小さな手足で歩行はしっかり地に安定し、心はせかせかと気ぜわしい
・歩くときに肩や背を揺さぶる癖があります
・肉付きよく気魄があって、財貨に対しては至極あっさりしている
・人を信頼してまかせることは少なく、何もかも自分で考えて処理することが多い
・物事を見るのが明敏でいつもにこやかにしているが、
気持ちがせっかちで心忙しくそのため長寿を保つことができず急死するようなことがある
・春夏の候には十分力を発揮しあたえますが、秋冬にはあたえきれないたちである
・秋冬の寒冷的な刺激に対して感受性が強く病気がちになる
・病気になると手少陰心経の各所にこりを生じやすい

→さらに上徴・質徴・少徴・右徴・質徴の5つに分類される。
・「質徴」の人は左手の太陽小腸経に比類すべきもので、
太陽の上部の方が特にきめ細やかになってくる。
・「少徴」の人は右手の太陽小腸経に比類すべきもので、
太陽小腸経の下部の方が皮の波うつ形となる。
・「右徴」の人は右手の太陽小腸経に比類すべきもので、
太陽小腸経の上部の方が力強くしまってくる。
・「質徴」の人は左手の太陽小腸経に比類すべきもので、
太陽小腸経の下部の方が正常でない見にくい姿となる。

土形之人、
比於上宮、黄色、大頭圓面、美肩背、大腹、好股脛、小手足、多肉、
上下相稱、行安地、擧足浮、安心、好利人、不喜權勢、善附人。
奈秋冬不奈春夏、春夏感而生病、主足太陰敦敦然。
太宮之人、比於左足陽明、陽明之上婉婉然。
加宮之人、比於左足陽明、陽明之下坎坎然。
少宮之人、比於右足陽明、陽明之上樞樞然。
左宮之人、比於右足陽明、陽明之下兀兀然。

土形の類型に属する人は、
五音中の「上宮」に比類すべきもの(同じたぐいのもの)で、
中央地区において生長した住民によく似ているものである。

<土形に属する人の特徴>
・皮膚の色が黄色
・面はまるく頭は大きい
・肩背の発育はよく整っていて腹部は寛大、下肢の大腿部の発育はよく、脛部は引き締まり手足の肉付きはよい
・そして上半身と下半身とはよく調和が取れております
・その歩行する状態を見ると地面をしっかりふまえて静かである
・挙ぐる足は軽く地面にすれすれである
・心況は安定し他人の事態を有利にすることを好みますが、権勢に対しては快く思わず、また物事をよく人に依頼しまかせることがある
・秋冷にはよく耐えうるが、春夏の温熱の刺激には耐え得ず、よく春夏の温熱の刺激を感受して病気にかかると足の太陰脾経の走路がどっしりと重くなる

→さらに土形は上宮・太宮・加宮・少宮・左宮の5つに分類される。
(以下略)

金形之人、
比於上商、白色、小頭方面、小肩背、小腹、小手足、如骨發踵外骨輕身。
清廉、急心、静悍、善爲吏。
奈秋冬不奈春夏、春夏感而生病、主手太陰敦敦然。
大商之人、比於左手陽明、陽明之上廉廉然。
右商之人、比於左手陽明、陽明之下脱脱然。
左商之人、比於右手陽明、陽明之上監監然。
小商之人、比於右手陽明、陽明之下嚴嚴然。

金形の類型に属する人は、
五音中の「上商」に比類すべきもの(同じたぐいのもの)で、
西方地区において生長した住民によく似ているものである。

<金形に属する人の特徴>
・四角い顔、皮膚の色が白い
・頭は小さく、肩背ともに小さく、腹も小さく、手足もまた小さい
・かかとの骨の外は堅くて骨が外に発しているようである
・身軽であり清廉であるが、気持ちはせっかちで動作は鋭く勇ましい
・決められた仕事はテキパキと実行する
・秋冬に対してはよく耐え得るが、春夏は苦手で耐え難い
・もし病気にかかると手太陰肺経の走路は膨れて重くなる

→さらに金形は上商・大商・右商・左商・小商の5つに分類される。
(以下略)

水形之人、
比於上羽、黒色、大頭面不平。廉頤小肩、大腹、小手足。
發行搖身、下尻長背、延延然、不敬畏、善欺紿人、殆戮死、
奈秋冬不奈春夏、春夏感而生病、主足少陰汚汚然。
大羽之人、比於右足太陽、太陽之上頬頬然。
小羽之人、比於左足太陽、太陽之下紆紆然。
衆之爲人、比於右足太陽、太陽之下潔潔然。
桎之爲人、比於左足太陽、太陽之上安安然。

水形の類型に属する人は、
五音中の「上羽」に比類すべきもの(同じたぐいのもの)で、
北方地区において生長した住民によく似ているものである。

<水形に属する人の特徴>
・皮膚の色が黒味がち
・面部は平らではなく、頭は大きく顎(オトガイ)は角張っている
・肩は狭小で腹は大きく、手足を大きく動かす
・動作を起こすときにはまず身をゆるがす
・尻下が長く背は長く伸びている
・生まれつきの性格は、人を尊敬せず又人をごまかし人を殺すことも致しかねない
・秋冬に強く、春夏は苦手で耐え難い
・もし病気にかかると足の少陰腎経に沿って発汗がひどくなる

→さらに水形は上商・大商・小商・左商・右商の5つに分類される。
(以下略)

最後の水型の人については
恐ろしいことが書いてますね。
もしかすると、このような水型のような場合もあるために
5種類の型をしっかりと見極めなさい
という戒めのような意味が
含まれているのかも知れません。

続きます。

緑地公園駅近くの「雅」にて。
緑地公園駅近くの「雅」にて。先日豊中院に行く機会があり、お店にも久し振りに行きました。噂では近々閉店してしまうとか・・残念です。写真はおそらく最後の味噌豚骨ラーメンです、ご馳走様でした。

参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』 燎原

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

大原

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here