こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(鍼灸甲乙経を読む その62)
ここからは『霊枢』の「五音五味篇(第65)」にある内容と
同じ内容になります。
<原文>
黄赤者多熱氣、
青白者少熱氣、
黒色者多血少氣、
美眉者太陽多血、
通髯極鬚者少陽多血、
美鬚者陽明多血、
此其時然也。
<読み>
黄赤なる者は熱氣多く、
青白なる者は熱氣少なく、
黒色なる者は血多く氣少なく、
美眉なる者は太陽の血多く、
通髯極鬚の者は少陽の血多く、
鬚美しき者は陽明の血多し、
これその時の然らしむる。
<意味>
顔色が黄赤→熱気が多い
顔色が青白い→熱気が少ない
顔色が黒色→血多く気少ない
両眉が美しい→太陽経に血多い
鬚髯(顎〜頬のヒゲ)が耳まで連なる→少陽経に血多い
ヒゲの色が美しい→陽明経に血多い
これらのことは常に見られる一般的な現象なのである。
<原文>
夫人之常數、
太陽常多血少氣、
少陽常多氣少血、
陽明常多血多氣、
厥陰常多氣少血、
少陰常多氣少血、
太陰常多血少氣。
此天之常數也。
<読み>
それ人の常数は、
太陽は常に血多く氣少なく、
少陽は常に氣多く血少なく、
陽明は常に血多く氣多く、
厥陰は常に氣多く血少なく、
少陰は常に血多く氣少なく、
太陰は常に血多く氣少なし。
これ天の常数なり。
<意味>
人間一般の経脈中に存在する気血の多少について、
その一定の正常比較(比率)というものは以下のようになる。
手の太陽小腸経、足の太陽膀胱経:血が多く気が少ない
手の少陽三焦経、足の少陽胆経経:気が多く血が少ない
手の陽明大腸経、足の陽明胃経 :血が多く気も多い
手の厥陰心包経、足の厥陰肝経 :気が多く血が少ない
手の少陰心経、足の少陰腎経 :血が多く気が少ない
手の太陰肺経、足の太陰脾経 :血が多く気が少ない
これは人体が天から授かった気血の多少における
一定の比率である。
続きます。
参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』 燎原
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
大原