こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(前回:鍼灸甲乙経を読む その60

曰「得其形不得其色何如?」
曰「形勝色、色勝形者、至其勝時年加、害則病行、失則憂矣。
形色相得者、富貴大樂。」
曰「其形色相勝之時、年加可知乎?」
曰「凡人之大忌、常加九歳、
七歳、十六歳、二十五歳、三十四歳、四十三歳、五十二歳、六十一歳、皆人之忌、不可不自安也。
感則病、失則憂矣。」

<意味>
「人体に備わるべき五行に属する体形は出ているが
これと並んで出現すべき皮膚の色が現れないのはなぜでしょうか?」
「形が色に勝ち、また色が形に勝つということもありますが、
それは五行相克の関係によるものであります。
その勝つ年にはさらに別の力が影響を与うるものなので、
もしこれに強いショックを感受しますと病機を引き起こし、
またこれに対する治療が適切でないと憂を招くようなことがあります。
常に形と色とが適応して出現しているというものは、
大変豊かであり何のくったくもないのんびりしている証拠であります。」
「その形か色かいずれかが勝つというときは
いつの年なのかあらかじめ知ることができるのか?」
「それは『大忌』にあたる年であります。先に申し上げました二十五種類の人のうち、
7歳、16歳、25歳、34歳、43歳、52歳、61歳が皆人の『大忌』であり、
この年は静かに落ち着いていることが必要です。
もしこのショックを強く受けますと病気を生じ、
またその手当てを失するときは憂を生ずるようになります。
この時には決して道にはずれた行いをしてはなりません。
これが年忌というものです。」

曰「脉之上下、血氣之候、以知形氣奈何?」

「先生は、先ほど三陽脈の上下の気血が盛んであるために外見上の特徴が現れて、
それによって二十五種の体質を区分する基準とすることをおっしゃったが、
それについてさらに詳しく知りたいのですが
説明して下さいませんか」


「足陽明之上、
血氣盛則髯美長。
血少氣多則鬚短、
氣少血多則鬚少。
血氣倶少則無鬚、兩吻多畫。

「足の陽明胃経の上部に
気血が盛んなるときはほほの髭が美しくて長い。
もし血が少なくて気の多いときは、ほほの髭は短い。
気が少なくて血が多いときには髭が少なく、
血気ともに少ないときにはほぼ髭がなくて
口角の両側に紋(シワのような模様)が多くなります

足陽明之下、血氣盛則下毛美長至胸。
血多氣少則下毛美短至臍、行則善高擧足、足指少肉、足善寒。
血少氣多則肉而善瘃。
血氣皆少則無毛、有則稀枯瘁、善痿厥、足痺。」

足の陽明胃経の下部に
血気が盛んなときには陰毛が立派で長く胸まで達します。
血が多くて気が少ないときには陰毛は立派ですが短くて臍に達する程度です。
歩行するときには足を高く挙げて歩き足の指肉少なくたせており、足がよく冷えます。
血気ともに少ないときには無毛であり、
もしあるとしても稀であってしかも光沢なくやつれて、
足がえたり冷えたり、
また足が麻痺するような病気にかかりやすいものであります。

次回に続きます。


参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』 燎原

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

大原

 

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