こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(前回:鍼灸甲乙経を読む その49)
<原文>
曰
「其死有期乎?」
曰
「察色以言其時。
顔者、首面也。
眉間以上者、咽喉也。
眉間以中者、肺也。
下極者、心也。
直下者、肝也。
肝左者、膽也。
下者、脾也。
方上者、胃也。
中央者、大腸也。
挾傍者、腎也。
當腎者、臍也。
面王以上者、小腸也。
面王以下者、膀胱子處也。
顴者、肩也。
顴後者、臂也。
臂下者、手也。
目内眥上者、膺乳也。
挾繩而上者、背也。
循牙車以上者、股也。
中央者、膝也。
膝以下者、脛也。
當脛以下者、足也。
巨分者、股裏也。
巨屈者、膝臏也。
此五藏六府肢節之部也。
五蔵五色之見者、皆出其部也。
其部骨陷者、必不免于病也。
其部色乘襲者、雖病甚不死也。
<読みと意味>
曰く
「其の死に期あるか?」
(死ぬのはいつか、どういうときか予め分かっているのか)
曰く
「色を察して以てその時を言うなり。
(五蔵五行の色を察し、それによって死するときを言うのである。)
顔(一説には「天庭」:額の中央)なる者、首面なり(首面の病である。以下、同様。)。
眉間以て上なる者、咽喉なり。
眉間以て中なる者、肺なり。
下極(両目の間)なる者、心なり。
直下(鼻柱)なる者、肝なり。
肝左なる者、膽(胆)なり。
下なる者、脾なり。
方上なる者、胃なり。
中央なる者、大腸なり。
挾傍(頬のあたり)なる者、腎なり。
腎にあたる者(腎の属する部位の下方は)、臍なり。
面王以て上なる者、小腸なり。
面王以て下なる者、膀胱子処(膀胱と子宮)なり。
顴(頬骨)なる者、肩なり。
顴の後なる者、臂(腕)なり。
臂の下なる者、手なり。
目の内眥の上なる者、膺乳(胸)なり。
繩(耳辺の直上)を挾みて上る者、背なり。
牙車(顎)に循り以て上なる者、股なり。
中央なる者、膝なり。
膝以下なる者、脛なり。
脛に当たる以下なる者、足なり。
巨分なる者、股裏なり。
巨屈は者、膝臏なり。
此れ五藏六府肢節の部なり。
五蔵の五色の見わるる者、皆出その色部に出ず。
その部骨陷する者は、必ず病を免れざるなり。
その色部に乗襲する者は、病甚だしといえども不せざるなり」と。
(五蔵の病色は病を反映して面部に現れるものであるが、
それは一定の関連する部位がある。
もしその部位の骨が陥している者は
必ず病気になることを逃れらない。
またその色部にさらに臓色が上から乗りかかったような場合には
病が甚だしい場合でも死ぬものではない。)
続きます。
参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』 燎原
興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。