こんにちは、大原です。
今回から第1巻の「五色篇(第15)」になります。
この篇は、
黄帝内経『霊枢』の五色篇(第49)と、
後半には
『素問』の脉要精微論篇(第17)、
五藏生成論篇(第10)が
もとになっているようです。
<原文>
雷公問曰
「聞風者、百病之始也。
厥逆、寒湿之起也、別之奈何?」
黄帝答曰
「当候眉間。
薄澤爲風、冲濁爲痺、在地爲厥、此其常也、各以其色言其病。」
曰
「人有不病卒死、何以知之?」
曰
「大氣入於藏府者、不病而卒死矣。」
問曰
「凡病少愈而卒死者、何以知之?
曰
「赤色出於兩顴、大如母指者、病雖小愈必卒死。
黒色出於庭、大如母指、不病而卒死矣。」
<読み>
雷公問いて曰く
「聞風なる者、百病の始なり。
厥逆は、寒湿の起こりなり、これを別つには奈何にするか?」
黄帝答えて曰く
「当に眉間を候う。
薄澤なるを風となす。冲濁なるを痺となす。
地に在るを厥となす。此れ其の常なり。
おのおのその色をもって、その病を言うなり。」
曰く
「人に病まずして卒かに死すこと有り、
何を以てこれを知るか?」
曰く
「大氣蔵府に入る者、病まずして卒かに死するなり。」
問いて曰く
「凡そ病少しく愈えて卒かに死する者、
何を以てこれを知るか?」
曰
「赤い色が両顴に出で、大きさ母指の如きなる者、
病小しく愈ゆるといえども必ず卒かに死す。
黒色庭に出で、大きさ母指のごときは、
病まずして卒かに死す」と。
この篇では、望診について書かれています。
顔のある場所の色の状態から、
どのような邪に侵されているのか、
また、死期も読み取れるということが書かれています。
ここでの前半部では、
眉間のあたりの色を見て、
・薄く光沢のあるもの→風病、
・まるで沖の方が濁っていて清ならざるもの→痹病、
・下部にあるもの→厥病、
であるとするのが
一般的な診方であると書かれています。
後半では、
人が顕著な病症もなくて突然死んでしまうことがあり、
それは何をもって知ることができるのかが書かれています。
具体的には、人が突然死んでしまうのは
大変激しい病邪が侵入して臓腑に入るときであり、
また、病が少し治ってきているのに
両頬に赤い色が出て、
それが親指ぐらいの大きさの場合は
必ず突然死んでしまうとも書かれています。
さらに、黒い色が「庭」という場所に現れた場合は
病むこともなく突然死んでしまうともあります。
この「庭」とは、解説本によると
「天庭」という場所ではないかとされているようで、
辞書によると
「天庭」とはひたいの中央、または、
眉と眉との間をいうようです。
続きます。
参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』 燎原
興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。