鍼灸甲乙経を読む　その47

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＜原文＞
曰「相之奈何？」
曰「血脉者盛堅横以赤、
上下無常處、小者如鍼、大者如筯、刺而寫之萬全、
故無失數、失數而返、各如其度。」

＜読み＞
曰く
「これを相（み）るには奈何（いかん）にするか？」と。
曰く
「血脉なる者、盛堅横にして以て赤く、
上下常のところ無し、
小なる者は鍼のごとく、大なる者は筯のごとし。
刺してこれを萬全に寫するなり、
故に数を失すること無し、数を失して返せば、
おのおの如その度のごとくす。」

＜意味＞
「そのような血脈を観察するにはどのようにするのか？」
「血脈とは、甚だ盛んでこれを切すればその部分だけが堅く、
また、なんの秩序もなくでたらめにのさばっているもので、
小さなものは鍼のごとく、
また、大きなものでは筋のごとくであります。
刺鍼によって、瀉すべきものは
ことごとく、
手落ちのないように（全部）瀉するべきであります。
だから、その程度を失するというようなことはありません。
もし取り残しがありましたなら、
その程度まで取れば良いのであります。」

ここで「横」という文字が出てきますが、
これは「縦・横」の「横」ではなく、
「横柄」や「横暴」というように用いられる
「秩序の無い」「でたらめ」という意味のようです。

また、後半に「数」と出てきますが、
ここでは「程度」という意味で、
「その程度を失する」とは
「瀉し足らない」という意味になります。

漢字には色々な意味があり、
それらの意味を文脈から推理していくことが
重要になってきます。

続きます。

参考文献
『黄帝内経霊枢』　東洋学術出版社
『鍼灸医学大系　黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系　黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』　燎原

興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。