<近日開催予定のイベント情報>
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こんにちは、大原です。
前回(鍼灸甲乙経を読む その43)の
続きです。
<原文>
五穀之津液、和合而爲膏者、
内滲入于骨空、補益腦髓、而下流于陰股。
陰陽不和、則使液溢而下流于陰。
髓液皆減而下、下過度則虚、虚則腰背痛而脛痠。
陰陽氣道不通、四海閉塞、三焦不瀉、津液不化。
水穀并於腸胃之中、別于廻腸、流於下焦、不得滲膀胱、則下焦脹、水溢則爲水脹。
此津液五別之逆順也。
<読み>
五穀の津液、和合して膏となるものは、
内、骨空に滲入し、腦髓を補益し下りて陰股に流る。
陰陽和せざるときは則ち液をして溢れて下り陰に流れしむ。
髓液は皆減じて下る。下ること度を過ぎれば則ち虚し、
虚すれば則ち腰背痛みて脛痠す。
陰陽の氣道通ぜず、四海閉塞して三焦瀉せず、津液化せず。
水穀腸胃の中に並し、廻腸を別ち、下焦に流れ、
膀胱に滲するを得ざるときは則ち下焦脹し、
水溢れるときは則ち水脹と為す。
これ津液五別の逆順なり。
<意味>
飲食した五穀の精微が化生したところの津液が和合して膏となるものは、
骨空気の中に滲入して脳髄を補益し、下って陰股に流通するのであります。
もし陰陽が不和になりますと、液は溢れて陰に流れてしまうものです。
髄液の消耗が過度になると、脳背腰等の各部の背中の髄液が不足となって
いわゆる虚の状態となります。
そのために腰背が痛み脛がだるくなります。
もしまた陰陽の気道が阻滞不通となり、
四海(気海、血海、髄海等の水穀の海が閉塞して
その機能が失調ししたがって三焦もまたその決瀆の機能を失って
輸瀉することができないようなことになりますと、
津液は全身に布することを得ず。
飲食物はそのまま腸胃の中に下行し、水分は廻腸で分別し、
下焦に流れ、膀胱に滲することができないときには、
下焦は張って水は溢れてきます。
そうなると水張すなわち水分に困るむくみを生じるのであります。
以上、申し上げましたのが
津液の五種の形態、
汗、涙、唾、溺、髄液の正常と異常の大要であります。)
五種類の津液の形態について
最後に記されていますが、
溺(でき)とは「小便」のことのようです。
以上で、第13篇「津液から化生する五液の区別」が
終わりとなります。
参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』 燎原
興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。