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こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(鍼灸甲乙経を読む その42)
<原文>
五藏六府、
心爲之主、耳爲之聽、目爲之候、肺爲之相、肝爲之將、
脾爲之衞、腎爲之主外。
故五藏六府之津液、盡上滲於目。
心悲氣并則心系急、
急則肺葉擧、
擧則液上溢。
夫心系急、肺不能常擧、乍上乍下、故欬而泣出矣。
中熱則胃中消穀、消穀則蟲上下作矣、腸胃充郭故胃緩、緩則氣逆故唾出矣。
<読み>
五蔵六府、
心は之が主たり、耳は之が聴たり、目は之が候たり、
肺は之が相たり、肝は之が將たり、
脾はこれが衛たり、腎は之がために外を主るなり。
ゆえに五蔵六府の津液は、尽く上りて目に滲ず。
心悲し氣并するときは則ち心系急す。
急すれば則ち肺葉挙す。
挙すれば則ち液上りて溢る。
夫れ心系急するときは、
肺は常には挙することあたわず、
たちまち上りたちまち下る、
ゆえに欬して泣出ずるなり。
中熱するときは則ち胃中穀を消す、
穀を消するときは則ち蟲上下に作り、
腸胃充郭す、故に胃緩む。
緩めば則ち氣逆す、故に唾出ず。
<意味>
五臓六腑は、心がその中心となって主導的役割を果たし、
一切の臓腑器官がそれぞれの任務を発揮することができるのです。
そして耳は聴覚を主り、目は視覚を主り、
肺は一身の気を調節し、肝はこれが将として謀慮決断を主り、
脾は食物の精微を運化して肌肉臓腑の栄養と全身の護衛を主り、
腎は灌精を主り、外部の空竅を濡潤するものであります。
故に五臓六腑の津液は尽く上がって目に滲するのであります。
もし心に悲哀的な情緒がありますと、
五臓六腑の気に随って
上って心に并するようになります。
そうなると、
心臓の脈絡は緊張状態になります。
心臓の脈絡が緊張状態になると、
肺葉が挙がることになります。
つまり肺葉が張大することになります。
肺は気を主るものですので、
肺葉の張大によって水液は気に随って行き、
上に充溢することになります。
ところが、心の脈絡の緊張と肺葉の上挙とは同時に長く
その状態を保つことはできません。
交互に起こることになるのです。
それゆえ、水液が気に随って上溢したときには
咳嗽して涙が出るという現象が起こるのであります。
中焦に熱のあるときには
胃中の穀の消耗が起こります。
穀の消耗が起こりますと、
腸胃の中に寄生虫の活動が活発となり、
そのために腸胃のくるわ(周囲)が張ってきます。
そのために胃が緩むのであり、
胃が緩むと気が逆して唾がでるのであります。
続きます。
参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』 燎原
興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。