こんにちは、大原です。
大きな台風19号が去って
急に涼しく感じますが、
カゼなどひいたりしてませんでしょうか?

さて、前回の続きです。
(前回の記事:鍼灸甲乙経を読む その38

<原文>

「諸陽皆濁、何陽獨甚?」

「手太陽獨受陽之濁、手太陰獨受陰之清。
其清者上走孔竅、其濁者下行諸經。
故諸陰皆清、足太陰獨受其濁。」


「治之奈何?」

「清者其氣滑、濁者其氣濇、此氣之常也。
故刺陰者深而留之、
刺陽者淺而疾之。
清濁相干者、以數調之也。」

<読み>
曰く
「諸陽は皆濁る。何れの陽か濁ること甚だしきや。」
曰く
「手の太陽獨り陽の濁を受け、手の太陰獨り陰の清を受く。
その清なる者は上りて孔竅に走り、その濁なる者は下りて諸經に行く。
故に諸陰は皆清なり、足の太陰獨りその濁を受く。」

曰く
「これを治するにはいかんにするか?」

「清なる者はその氣なめらかなり、濁なる者はその氣しぶる、これ氣の常なり。
ゆえに陰を刺す者は深くしてこれを留め、
陽を刺す者は淺くしてこれをとくくす。
清濁相干する者は数をもってこれを調うるなり。」

<意味>
「諸々の陽は皆濁であるならば、
その中のいずれの陽が、最も濁が甚だしいのか?」
「手の太陽小腸経だけが陽の濁気を受け、
手の太陰肺経だけが陰の清を浮くるものであります。
その清なるものは上って空竅に走り、
その濁なる者は下って十二経に行くのであります。
諸々の陰はすべて清でありますが、
足の太陰だけはその濁を浮くるものであります。」

「陰陽清濁の気の不調を治するにはどのようにするのか?」
「清なるものはその気は凡そなめらかであり、
濁なるものはその気は渋滞しているかのようであり、
それが気の通常の状態であります。
ゆえに陰を刺すときは深く刺してこれを留めておき、
陽を刺す場合には浅く刺して之をくいたします。
清と濁とが相混淆こんこうしております場合には、
その状態に応じ、
適当な刺法をもって之を調えねばなりません。」

一番最後の「数をもってこれを調うるなり。」
「数」とは「術数」の意であり、
その訳として策略、はかりごと、というようなニュアンスで、
ここでは「その状態に適用するような刺法を用いて調える」となるようです。
漢字には色んな意味があり、複雑でもありますが面白いですね。

続きます。

急に涼しくなって、伸び盛っていた山道の木も、勢いが急になくなったように見えます。
急に涼しくなったせいか、伸び盛っていた山道の木も、勢いがなくなったように見えます。

参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』 燎原

興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。

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