こんにちは、大原です。
前回(鍼灸甲乙経を読む その30)
の続きです。
今回で「第9、周身五十周する営気、周天二十八宿と衛気の運行関係、
漏刻による営衛気の所在」はラストになります。
<原文>
水下一刻、人氣在太陽。
水下二刻、人氣在少陽。
水下三刻、人氣在陽明。
水下四刻、人氣在陰分。
水下五刻、人氣在太陽。
水下六刻、人氣在少陽。
水下七刻、人氣在陽明。
水下八刻、人氣在陰分。
水下九刻、人氣在太陽。
水下十刻、人氣在少陽。
水下十一刻、人氣在陽明。
水下十二刻、人氣在陰分。
水下十三刻、人氣在太陽。
水下十四刻、人氣在少陽。
水下十五刻、人氣在陽明。
水下十六刻、人氣在陰分。
水下十七刻、人氣在太陽。
水下十八刻、人氣在少陽。
水下十九刻、人氣在陽明。
水下二十刻、人氣在陰分。
水下二十一刻、人氣在太陽。
水下二十二刻、人氣在少陽。
水下二十三刻、人氣在陽明。
水下二十四刻、人氣在陰分。
水下二十五刻、人氣在太陽。此半日之度也。
從房至畢一十四宿、水下五十刻、終日之度也。
日行一舎者、水下三刻與十分刻之四。
『大要』常以日加之於宿上也、則知人氣在太陽。
是故日行一宿、人氣在三陽與陰分。常如是無已、與天地同紀。紛紛泳泳。終而復始、一日一夜、水行百刻而盡矣。
故曰「刺實者、刺其來、刺虚者、刺其去。」此言氣之存亡之時、以候虚實而刺之也。
水下ること一刻、人氣は太陽に在り。
水下ること二刻、人氣は少陽に在り。
水下ること三刻、人氣は陽明に在り。
水下ること四刻、人氣は陰分に在り。
水下ること五刻、人氣は太陽に在り。
水下ること六刻、人氣は少陽に在り。
水下ること七刻、人氣は陽明に在り。
水下ること八刻、人氣は陰分に在り。
水下ること九刻、人氣は太陽に在り。
水下ること十刻、人氣は少陽に在り。
水下ること十一刻、人氣は陽明に在り。
水下ること十二刻、人氣は陰分に在り。
水下ること十三刻、人氣は太陽に在り。
水下ること十四刻、人氣は少陽に在り。
水下ること十五刻、人氣は陽明に在り。
水下ること十六刻、人氣は陰分に在り。
水下ること十七刻、人氣は太陽に在り。
水下ること十八刻、人氣は少陽に在り。
水下ること十九刻、人氣は陽明に在り。
水下ること二十刻、人氣は陰分に在り。
水下ること二十一刻、人氣は太陽に在り。
水下ること二十二刻、人氣は少陽に在り。
水下ること二十三刻、人氣は陽明に在り。
水下ること二十四刻、人氣は陰分に在り。
水下ること二十五刻、人氣は太陽に在り。
これ半日の度なり。
房より畢に至る一十四宿、水下ること五十刻、終日の度なり。
日は行くこと一舎なる者、水下りて三刻と十分刻の四なり。
『大要』常に日をもってこれに加え、
宿上に於けばすなわち人氣は太陽に在りと知る。
この故に日行くこと一舎、人氣は三陽と陰分とに在り。
常に是のごとく已むこと無く、天と地と紀を同じくし、
紛紛泳泳たるも終わりて復び始まり、
一日一夜に、水行ること百刻にして尽きるなり。
ゆえに曰く
「実を刺す者、其の来たるを刺し、虚を刺す者、其の去るを刺す。」
これ氣の存亡の時、もって虚實を候いてこれを刺すを言うなり。
<意味と解説>
「水下ること○刻」とは、
古代の時計を計るいわゆる水時計による時間のことです。
1日あたり百刻である(→文章の後半にあります)ことから、
一刻あたりおよそ15分(正確には14分24秒)ということになります。
また、「人気」とは衛気のことで、
すなわちここでは、
時刻によって衛気が人体のどこをめぐるかが述べられています。
ちなみに、
最後の文章は霊枢にはなく、甲乙経で書き加えられた内容のようです。
「故曰「刺實者、刺其來、刺虚者、刺其去。」此言氣之存亡之時、以候虚實而刺之也。」
(ゆえに曰く
「実を刺す者、其の来たるを刺し、虚を刺す者、其の去るを刺す。」
これ氣の存亡の時、もって虚實を候いてこれを刺すを言うなり。)
この文章は
どのように刺鍼をすべきかが書かれており、
その衛気のある人体の場所において、
その氣の去来をとらえて
虚実を判断するべきであると記されています。
続きます。
参考文献
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。