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こんにちは、大原です。
前回の続きです。
(前回の記事:鍼灸甲乙経を読む その28
前回は『黄帝内経 霊枢』五十営篇(第15)が
もとになっているとみられる内容でしたが、
今回からの後半部分は
『霊枢』の衞氣行篇(第76)がもとになっているようです。

<原文>

「衞氣之行、出入之合何如?」

「歳有十二月、日有十二辰、子午爲經、卯酉爲緯。
天一面七星、周天四七二十八宿、房昴爲緯、張虚爲經。
是故房至畢爲陽、昴至尾爲陰。陽主晝、陰主夜。
故衞氣之行、一日一夜、五十周於身、晝日行於陽二十五周、夜行於陰二十五周、周於五藏。

是故平旦陰盡、陽氣出於目。
目張則氣上行於頭、循項下足太陽、循背下至小指之端。
其散者、別於目鋭眥、下手太陽、下至手小指之間外側。
其散者、別於目鋭眥、下足少陽、注小指次指之間、
以上循手少陽之分側、下至小指之間。
別者以上至耳前、合於頷脉、注足陽明、以下行至跗上、入五指之間。
其散者、從耳下下手陽明、入大指之間、入掌中。
其至於足也、入足心、出内踝、下行陰分、復合於目。故爲一周。

<読み>
曰く
「衞氣の行、出入の合はいかん?」
曰く
「歳に十二月有り、日に十二辰有り、子午を經と為し、卯酉を緯と為す。
天は一面に七星、周天四七二十八宿なり。房昴を緯と為し、張虚を経と為す。
是の故に房より畢に至るを陽と為し、昴より心に至るを陰と為すなり。
陽は昼を主り、陰は夜を主る。
故に衞氣の行の一日一夜に身を五十周するは、
晝日は陽を行くこと二十五周、夜は陰を行くこと二十五周、五蔵を周るなり。

このゆえに平旦には陰尽きて、陽氣目に出づ。
目張るときは則ち氣上りて頭に行き、項に循って足の太陽に下り、背に循って下りて小指の端に至る。
その散ずる者は、目の鋭眥に別れ、手の太陽に下り、下って手の小指の間の外側に至る。
その散ずる者は、目の鋭眥に別れ、足の少陽に下り、小指の次指の間に注ぎ、
もって上り手の少陽の分側に循って、下りて小指の間に至る。
別なるものは、もって上りて耳前に至り、頷脉に合し、足の陽明に注ぎ、もって下行して跗上に至り、五指の間に入る。
その散ずる者は、耳下より手の陽明に下り、大指の間に入り、掌中に入る。
その足に至るや、足心に入り、内踝に出で、下りて陰分に行き、復び目に合す。故に一周と為す。

<意味>
「衛気の運行や、陰陽表裏を出入りする情況はどのようになっているものなのか?」

「1年に12ヶ月有り、1日には十二辰有ります。
子と午とは、それぞれ南と北に在ってこれを結ぶものを経とし、
卯と酉とは、それぞれ東西に在って、これを結ぶものを緯となします。

天体には各一方面にそれぞれ7つの星宿があり、
東西南北で1周すると28星宿がある。
東から西に至るつまり房宿から昴宿に至るものを緯とし、
北から南に至るつまり張宿から虚に至るものを経とします。

これによって
東方の房宿から南方を経過して西方の畢宿に至る14宿は包括して陽に属し、
西方の昴宿から北方を経過して東方の心宿に至る14宿は包括して陰に属します。

陽は白天を主り、陰は夜間を主ります。

それ故に衛気の運行と天体の環周とは、
一様な規律に基づいて1日1夜にして全身を循行すること50周、
白天には陽分に在りて行くこと25周、
夜間は陰分に在りて行くこと25周、
あわせて五蔵(5年)の間、環周するものであります。

このゆえに夜明けになると陰は尽きて、陽氣が目に出てまいります。
目が開くと
氣は上って頭に行き、
項に循って足の太陽膀胱経を下り、
背に循って下って小指の端に至ります。
また、その散ずるものは、目の外眥から別れ、
手の太陽小腸経に沿って下り、手の小指の間の外側に至ります。
また、その散ずるものは、目の外眥に別れ、
足の少陽胆経に沿って下り、小指の次指の間に注ぎます。
それから上って手の少陽三焦経の沿って、
下り小指と無名指との間に至ります。
また、別のものは、
上って耳前に至って、頷(顎:あご)の脉に合して、
足の陽明胃経に注ぎ下行して跗上に至って中指に入ります。
またその散ずるものは、
耳下から手の陽明大腸経に沿って下り、大指の間から掌中に入ります。
以上で、足に至ったものは、
足の裏の足心(そくしん:足の中心部)から内踝に出で、
陰分をめぐって、復び目に入ります。
このようにして一周がおわるのであります。

陽の時間帯に、人体の衛気がどのように
めぐっていくのかが書かれています。
最後の方の、「足心(そくしん)」は足の中心部で、
経穴でいう「湧泉」のあたりでしょう。
参考文献の解説に
足の少陰腎経より内踝に出るのは、
これは少陰の別で蹻脈となし、蹻脈は目の内眥に属す。
故に再び目に合するなり」とあり、
甲乙経には直接的な書き方はしていませんが
陰蹻脈、陰蹻脈のルートについても
触れられているといえます。
さらに、
ここで触れられていない陰経のルートについては
次の記事で出てきそうですね。

続きます。

一番前の席に乗ることがあまり無かったので、つい前の景色を眺めたくなりました。
電車で一番前の席に乗ることがあまり無かったので、つい前からの景色を眺めたくなりました。秋晴れの気持ち良い空です。

参考文献
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍

興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。

 

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